2008年05月26日
ストーリー
あるマンションの一室。
それは,はたから見れば「妊娠中の妻」,「その夫」,「ちょっと意地悪な妻の父親」の3人が住む,幸せいっぱいの家族の姿そのもの。
プレゼントとしてもらった新しい靴を履いて出かける,「その夫」=「木村(堺雅人)」。
木村は,友人である中学校教師の「神野(大泉洋)」から車を借りて横浜方面に出かけていく・・・。
木村が勤める「梶山商事」。木村は『熱がある』と言って会社を休んでいたが,あるホテルで若い女性と会っている写真を取られてしまっていた。
その話を聞きつけた上司が,その写真を社長に見せる。社長はその女性と木村の写真を見て,木村に話を聞きたいという。しかし,木村は居場所がつかめない。
木村捜しのために探偵を雇うことに。失踪した木村を捜すために雇われた探偵(佐々木蔵之介)。探偵は,木村の同級生「島崎」の名を名乗り,木村の友人である「神野」に近づく。
「島崎」と一緒に「木村」を捜索する「神野」。調べていく中で「島崎」は,「梶山商事」とヤクザ「片山(伊武雅刀)」とのつながり,そして同じように失踪している「あゆみ」という女性の存在を知る。
「島崎」は,『「あゆみ」と「木村」が妊娠した女房を置いて一緒に逃げたのではないか』と推理する。
「神野」は,『そんなことはあり得ない』と言いながらも,「岩崎」が入手した,「木村」が女性と一緒にマンションに入っていく映像を見て「木村」の意外な一面を知ることになる。
しかし,話はそんなに単純には終わらない。
「木村」の行方,「あゆみ」という女性と「木村」と一緒にいた女性の関係,木村と一緒にいた女性の正体。
張り巡らされた伏線の数々。そして,その背後にある驚愕の真実。
甘く見てると騙されちゃいますよ!
※ 以下は,ネタバレありのレビューです。
才能のある人物が,じっくり時間をかけて作成した映画は面白い,ということを実感できる作品。
この手の作品は,見終わったら張り巡らされた伏線を確認するためにもう一度見たくなってしまう。いい作品は,たとえミステリーでも,2回,3回と楽しめるものなのですな。
映画が成功するための最も大きい要因の一つは,キャストだろう。この作品も配役が見事。配役による先入観が見ている人をミスリードし,最後のどんでん返しを際立たせる。また,キャストそのものが伏線になっていると言うこともできる。
主演の大泉洋は,実直そうな役柄のイメージが強い。与えられた役は世間をしらない中学校教師。ところが,作品の途中で,実はコイツが黒幕なのか・・・!と思わせるシーンが現れる。捜索していたはずの「木村」が「神野(大泉洋)」の家に居ていることが明らかになるシーンだ。
ここで映画を見ている人のほとんどは『神野が木村とグルになって,大金を奪うために何らかのたくらみを企てているのか。そういえば,木村は妊娠している妻と子供のためなら,そういうことをしそうな役柄だ。そういうどんでん返しの作品なのか』と思ってしまったと思う(私も思いました,はい。)。
しかし,脚本はその上を行く。やっぱり大泉洋は実直な人物であり,堺雅人はたよりないいい人の役なのである。社長を騙して大金を取れるような人物ではない・・・。深読みをさせておいてひっくり返す。裏の裏を書き,表に戻すような形。うまい。
この話の骨格は「あゆみ」という女性が妊娠をし,ヤクザの手から偶然であった中学校時代の同級生を頼って逃げるという点。そして,「あゆみ」の口からヤクザと「梶山商事」のつながりを知った警察が「木村」を使って「梶山商事」を捜査させ,逮捕を目指すと言うもの。
それを,あえて「木村」と「あゆみ」の関係をミスリードさせるような映像を出し,説明を加えず,見ている人の自然な想像が『「木村」と妊娠している奥さんとその家族と友人の話。』へと進むように話を組み立てている。
秀逸なのは伏線の張り方。産気づいた妻を病院に届けるシーン,「神野」が自分の妹を「婦人警官で出会いがない」と「岩崎」に紹介するシーン,「神野」が,『「木村」が家に来ると「神野」の妹はいつも余所行きの服に着替えていた』と言うシーン,そして,最初に「木村」が靴をプレゼントされるシーン・・・。これらが全て重要(そんなに重要でもないものもあるが,非常に上手く使っている)な伏線なのだ。
人は,ミステリーを読めば裏を読む。まさか,一番怪しい奴は犯人じゃないだろう。この人はいい人そうだから,この人が犯人なんじゃない?
そういう裏を読めば,まさに「神野」はいい人そうだけど,こいつが黒幕なのか?と思ってしまう。そこをもう一度ひっくり返す。
途中まで話を圧倒的に引っ張っていた「岩崎」は,完全にかませ犬。そして最後のエレベーターのシーン。
かなりの傑作だったと思う。今年は,ほかにも「キサラギ」とか「おいしい殺し方」とか秀逸な作品をたくさん見てしまったなぁ。今年のベストを決めるのは難しそうだぞ。
あるマンションの一室。
それは,はたから見れば「妊娠中の妻」,「その夫」,「ちょっと意地悪な妻の父親」の3人が住む,幸せいっぱいの家族の姿そのもの。
プレゼントとしてもらった新しい靴を履いて出かける,「その夫」=「木村(堺雅人)」。
木村は,友人である中学校教師の「神野(大泉洋)」から車を借りて横浜方面に出かけていく・・・。
木村が勤める「梶山商事」。木村は『熱がある』と言って会社を休んでいたが,あるホテルで若い女性と会っている写真を取られてしまっていた。
その話を聞きつけた上司が,その写真を社長に見せる。社長はその女性と木村の写真を見て,木村に話を聞きたいという。しかし,木村は居場所がつかめない。
木村捜しのために探偵を雇うことに。失踪した木村を捜すために雇われた探偵(佐々木蔵之介)。探偵は,木村の同級生「島崎」の名を名乗り,木村の友人である「神野」に近づく。
「島崎」と一緒に「木村」を捜索する「神野」。調べていく中で「島崎」は,「梶山商事」とヤクザ「片山(伊武雅刀)」とのつながり,そして同じように失踪している「あゆみ」という女性の存在を知る。
「島崎」は,『「あゆみ」と「木村」が妊娠した女房を置いて一緒に逃げたのではないか』と推理する。
「神野」は,『そんなことはあり得ない』と言いながらも,「岩崎」が入手した,「木村」が女性と一緒にマンションに入っていく映像を見て「木村」の意外な一面を知ることになる。
しかし,話はそんなに単純には終わらない。
「木村」の行方,「あゆみ」という女性と「木村」と一緒にいた女性の関係,木村と一緒にいた女性の正体。
張り巡らされた伏線の数々。そして,その背後にある驚愕の真実。
甘く見てると騙されちゃいますよ!
※ 以下は,ネタバレありのレビューです。
才能のある人物が,じっくり時間をかけて作成した映画は面白い,ということを実感できる作品。
この手の作品は,見終わったら張り巡らされた伏線を確認するためにもう一度見たくなってしまう。いい作品は,たとえミステリーでも,2回,3回と楽しめるものなのですな。
映画が成功するための最も大きい要因の一つは,キャストだろう。この作品も配役が見事。配役による先入観が見ている人をミスリードし,最後のどんでん返しを際立たせる。また,キャストそのものが伏線になっていると言うこともできる。
主演の大泉洋は,実直そうな役柄のイメージが強い。与えられた役は世間をしらない中学校教師。ところが,作品の途中で,実はコイツが黒幕なのか・・・!と思わせるシーンが現れる。捜索していたはずの「木村」が「神野(大泉洋)」の家に居ていることが明らかになるシーンだ。
ここで映画を見ている人のほとんどは『神野が木村とグルになって,大金を奪うために何らかのたくらみを企てているのか。そういえば,木村は妊娠している妻と子供のためなら,そういうことをしそうな役柄だ。そういうどんでん返しの作品なのか』と思ってしまったと思う(私も思いました,はい。)。
しかし,脚本はその上を行く。やっぱり大泉洋は実直な人物であり,堺雅人はたよりないいい人の役なのである。社長を騙して大金を取れるような人物ではない・・・。深読みをさせておいてひっくり返す。裏の裏を書き,表に戻すような形。うまい。
この話の骨格は「あゆみ」という女性が妊娠をし,ヤクザの手から偶然であった中学校時代の同級生を頼って逃げるという点。そして,「あゆみ」の口からヤクザと「梶山商事」のつながりを知った警察が「木村」を使って「梶山商事」を捜査させ,逮捕を目指すと言うもの。
それを,あえて「木村」と「あゆみ」の関係をミスリードさせるような映像を出し,説明を加えず,見ている人の自然な想像が『「木村」と妊娠している奥さんとその家族と友人の話。』へと進むように話を組み立てている。
秀逸なのは伏線の張り方。産気づいた妻を病院に届けるシーン,「神野」が自分の妹を「婦人警官で出会いがない」と「岩崎」に紹介するシーン,「神野」が,『「木村」が家に来ると「神野」の妹はいつも余所行きの服に着替えていた』と言うシーン,そして,最初に「木村」が靴をプレゼントされるシーン・・・。これらが全て重要(そんなに重要でもないものもあるが,非常に上手く使っている)な伏線なのだ。
人は,ミステリーを読めば裏を読む。まさか,一番怪しい奴は犯人じゃないだろう。この人はいい人そうだから,この人が犯人なんじゃない?
そういう裏を読めば,まさに「神野」はいい人そうだけど,こいつが黒幕なのか?と思ってしまう。そこをもう一度ひっくり返す。
途中まで話を圧倒的に引っ張っていた「岩崎」は,完全にかませ犬。そして最後のエレベーターのシーン。
かなりの傑作だったと思う。今年は,ほかにも「キサラギ」とか「おいしい殺し方」とか秀逸な作品をたくさん見てしまったなぁ。今年のベストを決めるのは難しそうだぞ。

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