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マスカレード・イブ

5点。マスカレード・ホテルの登場人物である,山岸尚美と新田浩介が登場する。マスカレード・ホテルの前日譚という位置付け。どの作品もミステリとしては弱い。ミステリとして及第点を付けることができのは「ルーキー登場」くらい。東野圭吾らしい構成の上手さ,話運びの上手さで軽く楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。登場人物も少なく,読みやすい。山岸や新田という登場人物に思い入れがあれば十分に楽しめる。個人的にはそこまで思い入れはない。心に残るほどのデキではないが,通勤のお供としては最適…という程度の軽い短編集
〇 総合評価  ★★★☆☆
〇 サプライズ ★☆☆☆☆
〇 熱中度   ★★★☆☆
〇 インパクト ★☆☆☆☆
〇 キャラクター★★★★☆
〇 読後感   ★★★☆☆
〇 希少価値  ☆☆☆☆☆

〇 評価
 新田と山岸が登場する短編3つに加え,書下ろしの中編が1つという構成。どの作品もミステリとしてのプロットが弱い。ミステリとして及第点を付けることができるのは,被害者の妻が教唆犯だったという「ルーキー登場」くらいだろう。「それぞれの仮面」は人間消失のトリックなどないも同然。「仮面と覆面」は,覆面作家の正体に入れ替わりがあることが見え見え。中編の「マスカレード・イブ」も交換殺人としか考えられず,登場人物がなかなか「交換殺人」に思い至らない理由が分からない。それぞれの話の構成の上手さとキャラクターの魅力がこの短編集のミソだろう。「マスカレード・イブ」の穂積理沙も結構魅力的に描かれている。ミステリというよりは「マスカレード・ホテル」好きの人に向けて書かれたファン小説という感じ。新田や山岸という人物に思い入れがあれば十分楽しめる。個人的な評価としては,エンターテイメントとしてそれなりに楽しめたのでギリギリ★3
 
〇 メモ
〇 それぞれの仮面
 「マスカレード・ホテル」のヒロイン,山岸尚美がコンテルシア東京に就職して4年くらい経った頃の話。フロントオフィスに配属されて1か月経った頃。大学時代の恋人である宮原隆司がコンテルシア東京に泊まる。勤めていた中堅ゼネコンが倒産し,山岸と別れ大阪の会社に就職したはずの宮原は,元プロ野球選手である大山将弘のマネージャーをしていた。宮原は不倫相手が消失したとして山岸に相談する。山岸は宮原が「不倫相手」と言っていた女性=横田園子の本当の不倫相手が大山であること,横田が別の部屋で鴨田という男と一緒に泊まっていたことに気付く。山岸は宮原に横田の本当の不倫相手が大山であることに気付いていたことは告げる。山岸は横田から,大山と不倫しているが金持ちで自分の言いなりである鴨田という男性と結婚しようと思っていることを山岸に告げる。そして,金を払うので,鴨田には大山と一緒にホテルにいたことを黙っているように告げる。山岸は「私どもは,どんなにお金を積まれても,お客様の仮面に隠された本当の顔をほかの方に教えることはない。その素顔が醜ければなおのことです。」と辛らつな言葉を告げる。
 マスカレード・ホテルを読んでいて,山岸尚美に思い入れがあれば,山岸の大学時代の恋愛の話などもあるので,それなりに楽しめる。とはいえ,「人間消失」もののミステリとしてはトリックもなく,真相も平凡。山岸の大学時代の恋人という宮原という人物もさほど魅力的ではなく,全体的にみて平凡なデキの短編。コンテルシア東京という舞台,山岸尚子のキャラクターとしての魅力を楽しむ作品か。構成がうまく,さらっと読む分には楽しめるので★3で。

〇 ルーキー登場
 冒頭。マスカレード・ホテルにも出ていた刑事・新田浩介が女性とホテルにいる。事件があり,呼び出された新田に「すっぴんに見えるような化粧」の話をしている。
 事件はホワイトデーの夜にランニングをしていた田所昇一が殺害される。捜査の結果,田所昇一の妻,田所美千代のストーカーである横森仁志が田所昇一を殺害していたことが分かる。新田は,捜査の結果,横森は昇一からDVを受けていた美千代を救うために昇一を殺害していたと聞き出す。しかし,実際は美千代は山口孝弘という男と不倫をしていた。不倫がばれると離婚され「資産家の妻」という立場を失う。美千代は横森をそそのかし,昇一を殺害させていた。新田は美千代に「横森が見たというあなたの素顔は果たして本物の素顔だったのでしょうか」と聞く。美千代は「例え,横森が逮捕されていなくても,あんな男はなんとでもなる」と素顔を垣間見せる。「刑事さんにとって,これがよい経験になったらいいんですけど」とも。
 被害者の妻と思われる女性が,実は犯罪の教唆をしていたというプロット。田所美千代の表の顔と裏の顔の違いが「女の怖さ」を垣間見せる。ミステリとしてのプロットもそれなりによくできており,東野圭吾らしい小説の上手さもあってそれなりに読ませる作品になっている。及第点。ただし★4とするほどでもない。★3の上の方くらい。

〇 仮面と覆面
 コンテルシア東京に「タチバナサクラ」という覆面作家が泊る。そのことを知ったファンである「オタク」達がコンテルシア東京に泊まる。実際にコンテルシア東京に泊まっているのは「玉村薫」を名乗る中年男性。編集者の望月和郎によると「この人が『タチバナサクラ』」だという。覆面作家であるタチバナサクラが中年男性であることもばれないようにしなければならなくなるのだが…。真相は中年男性は玉村薫という17歳の少女の父。タチバナサクラの正体は玉村薫だった。編集者である望月も騙されていた。中間テスト時期と重なったので短編の締切を過ぎる。タチバナサクラの正体が娘であることがばれないようにホテルで缶詰めになるが,玉村薫の父,壮一は毎日,職場である工務店に出勤していた。タチバナサクラのファンであるオタクたちは玉村薫の声を聞いて満足していた。
 中年の男性ではなく娘あたりがタチバナサクラであるという真相だろうという筋書きが読めてしまう。ありきたりの話を構成の上手さ,話づくりの上手さでなんとか読める作品にしているという印象。駄作とまでは言えないが平凡なデキ。★3の下の方

〇 マスカレード・イブ
 大学で岡島孝雄という教授が殺害される。容疑者は准教授の南原定之。南原定之は岡島孝雄の殺害時に大阪で女性と会っていたというが,誰と会っていたのか,アリバイを明かさない。殺人罪の容疑者になっても,会っていた女性が誰か明かさないのはなぜか。なんとかコンテルシア大阪というホテルに泊まっていたことだけをつきとめ,穂積理沙という交通課から応援にきている警官が捜査に向かう。そのとき,臨時でコンテルシア大阪のフロントクラークをしていた山岸尚美は穂積に南原と思われる客が「薔薇の香水」の匂いがする女性と意気投合していたという話を伝える。南原が会っていたと思われる女性は畑山玲子。真相は畑山玲子と南原定之が交換殺人をしていたというもの。南原は畑山にとって遺産相続のライバルになる伊村由里を殺害していた。畑山玲子はその夫である矢部義之に相談し,あえて南原にアリバイがない日に岡島を殺害して,死体の発見を遅らせた。南原からアリバイを奪うことで交換殺人がされたと判断されないようにし,死体の発見を遅らせることで念書を取り返したのだった。新田の推理で畑山を追い詰めるが,矢部が犯行を自供する。
 交換殺人というプロットが弱い。これは見え見え。新田と山岸をニアミスさせるという設定ありきで作った話のように思える。プロットの弱さを構成の上手さでカバーしているが中編としては平凡なデキ。ギリギリ★3か。

〇 エピローグ
 マスカレード・ホテルの前日譚。松岡高志という男性客が泊っているかと女性がやってくる話
  
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