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闇の伴走者: 醍醐真司の博覧推理ファイル

7点。「マスターキートン」などに関わった漫画原作者・編集者である長崎尚志によるミステリ。マスターキートンなどの浦沢直樹の漫画が好きなので是非とも読みたいと思っていた作品。まさに「長崎尚志」のテンプレートと思ってしまうような分かりやすくよくできた構成の作品。全体を通じて凄いトリックや強烈なインパクトまではない。しかし,伏線やミスディレクションなどがうまく配置されている。漫画に関するうんちくやちょっとした雑学も多く描かれており,それらもそれなりに楽しめた。全体を通じて,傑作とまではいえないが佳作といえるデキ
〇 総合評価 ★★★★☆
 「長崎尚志」の物語づくりのテンプレートっぽい構成。漫画業界を舞台にしたうんちくや,醍醐真司の言葉としてさまざまなうんちくを紹介しつつ,捜査が進んでいく。50枚の謎の原稿の作者を探すという魅力的な謎が示される。それは,35年前の連続殺人事件の犯人捜しにつながる。殺人者である漫画家について,「森田」というミスディレクションを示した上で,さらに黒幕的な存在,「漫画編集者」として小澤を描く。この「小澤」がまさに「マスターキートン」に出てくる悪役っぽく描かれる。漫画で見たら目だけ笑っていない顔で描かれそう。この小澤が漫画家である貝原に殺害される。漫画家の正体を見抜いたあと,更に残される謎。真の黒幕である「少年」の正体がちょい役で出ていた一峰馨という編集者というオチ
 伏線もそれなりに示されている。ミスディレクションを巧みに配置した分かりやすい構成。安定したデキとは言えるがそこまでのインパクトはない。傑作とまでは言えない佳作という印象。★3だろう。

〇 サプライズ ★★★☆☆
 マスターキートンの一話を見ているようなテンプレートのような構成。漫画家は一見「森田」というアシスタントであるように見せかけている。実際は「貝原」という存在。黒幕は「小澤」であるかのように見せかけて,ちょい役だと思われる「一峰」が黒幕という設定。「一峰」が黒幕であることについての伏線もきちんと示されている。で,どの程度驚けるかというと,まぁ普通。よくできているとは感じるが,驚愕はしない。マスターキートンもそんな感じだった。★3で。

〇 熱中度 ★★★☆☆
 物語の最中で醍醐が語るマンガについてのウンチクは非常に面白い。よく考えられた構成だと思うが,場面転換や回想シーンなどが多く,少し読みにくい。漫画原稿をシナリオで書いているシーンも読みにくい。話全体の面白さはあるが,先がきになって読む手が止まらない…というほどでもない。★3で。

〇 インパクト ★★☆☆☆
 「よくできた作品」だと思うが,インパクトには欠ける。漫画業界を舞台にしたミステリという点は新鮮。しかし「漫画家」が行っていた連続猟奇殺人はありがち。「漫画家」と「少年」の関係はそれなりに目新しいし,「漫画家」の動機のある2つの殺人も面白いが,インパクトというほどでもない。少年の正体が一峰だったという点もインパクトは薄い。★2か。

〇 キャラクター ★★★★☆
 醍醐真司は,非常にキャラクターが立っている。ヒロインの水野優希もそれなりにいいキャラクター。そのほかも,阿島淑子,小澤幸秀,一峰馨など脇役まで,漫画的ではあるが,しっかりキャラクターが書き分けられている。この点はさすが人気漫画の編集者だっただけのことはある。★4で。

〇 読後感 ★★★★☆
 水野優希は離婚を成立させる。醍醐も事件を解決することで立ち直れたと水野に感謝するなど,いいラスト。漫画家である貝原と漫画編集者の一峰の理想的な漫画家と編集者の関係を描くラストの読後感はいい。

〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
 「MASTER キートン」などのヒット作を手掛けてきた編集者(漫画原作者)である著者の作品。シリーズとしては,WowWowとはいえテレビドラマ化もされている。新刊として手に入りにくいという状況はなさそう。希少価値はない。

〇 メモ
〇 水野優希
 ヒロイン。元警官。現在は調査会社の調査員
〇 醍醐真司
 探偵役。元編集者
〇 阿島淑子
 水野に,アジマプロで見つかった謎の原稿の調査を依頼した依頼人
〇 阿島文哉
 故人。漫画化
〇 小沢幸秀
 アジマプロの社員
〇 望月
 大手出版社,英人社の専務。水野に醍醐を紹介する。
〇 和智康一郎
 英人社の編集者。阿島文哉の元担当。水野の調査で戸村というアシスタントを紹介
〇 福井惠介
 英人社の編集者。阿島文哉の元担当
〇 芳谷雅夫
 英人社の編集者。阿島文哉の元担当
〇 一峰馨
 英人社の編集者。阿島文哉の元担当
〇 戸村和也
 漫画家。阿島文哉の元アシスタント
〇 森田耕治
 阿島文哉の元アシスタント。既に死んでいた。
〇 矢島友之
 水野優希の父の古くからの友人である刑事
〇 辰巳晶子
 漫画家による連続殺人の最後の被害者。詐欺師
〇 室谷祥子
 フリーのデザイナー。「漫画編集者」である小澤の標的になる。
〇 川内
 元刑事。「漫画家」による事件の捜査をしていた。矢島の後輩
〇 貝原章彦
 スーパーアシスタント。連続殺人犯「漫画家」
〇 犬飼雅之
 漫画家である貝原に殴り殺された被害者。実は一峰の義父
〇 プロローグは1975年の殺人鬼の告白
〇 アジマプロで,阿島文哉のタッチに似たどの雑誌にも掲載されたことがない50枚の原稿が見つかる。内容は〈漫画家〉と称する男が女を物色し,周到な計画のもとで誘拐し,殺害するという話。これは35年前に東京とで実際に起こった未解決事件に類似していた。
〇 アジマプロから水野に依頼された内容は,「謎の原稿を誰が書いたかを調べる」こと
〇 望月の紹介で水野は醍醐に原稿を見せる。醍醐はスクリーントーンの使用状況から,現行が1985年頃のものだと推理。カブラペンを利用していることから50代から60代の年齢だと推理する。
〇 醍醐によるマンガ原稿の分析。醍醐は隠された伏線に気付く。
〇 水野による和智に対する聞き取り調査。戸村や森田というアシスタントの存在を知る。
〇 醍醐が水野に自分が発見した隠れた伏線…少年が隠れているということを示す。水野は醍醐に調査の協力を依頼する。
〇 水野による戸村に対する調査
〇 醍醐によるアジマプロの調査。森田の居場所を見つける。
〇 「漫画編集者」を名乗る謎の男(あとで「小澤」と分かる。)が,連続殺人犯である「漫画家」の家を訪れる。
〇 醍醐と水野が森田の家を訪れるが既に引っ越しをしていた。
〇 水野による一峰に対する調査。誰の絵でも真似ることができる「スーパーアシスタント」の噂を聞く。
〇 水野による矢島に対する調査。「漫画家」による連続殺人事件の最後の被害者「辰巳晶子」が詐欺師だったことを知る。
〇 醍醐はアジマプロでアシスタントの1人から森田の現在の居場所を聞き出す。森田が既に死んでいることを知る。
〇 謎の人物(実は漫画家による連続殺人犯の一峰)の回想
〇 漫画編集者と漫画家による室谷の拉致
〇 水野と醍醐が川内の話を聞く。その最中,小澤の死体が発見されたとの連絡が入る。
〇 漫画家が漫画編集者である小澤を殺害。室谷を逃がす。
〇 小澤の死後,アジマプロの社員である竹内と一緒に水野が小澤が住んでいた場所に行く。
〇 醍醐による調査。班目虹太という漫画家の「マンチュリアン・クラッチ」という漫画について編集者に隠れたアシスタントがいるのではないかという話を聞きに行く。最終的に,当時の担当者から「貝原章彦」というアシスタントの存在を聞き出す。
〇 水野が失踪する。醍醐による調査。醍醐は矢島らのツテを頼って室谷祥子に会う。醍醐は室谷から拉致されていたことを聞き出す。
〇 醍醐は水野の元亭主である寺田が水野の家の側にいるのを見付け,捕まえる。そして,漫画家と思われるる男が水野の尾行していたことを知る。
〇 拉致されていた水野はトイレットペーパーを利用して脱出を図る。
〇 「漫画家」である貝原章彦の死体が発見される。貝原は首を吊っていた。
〇 貝原が連続殺人犯であったこと,小澤が室谷を拉致したことなどが明るみに出る。水野は阿島淑子から貝原の経歴などを調べてほしいと追加の依頼を受ける。
〇 醍醐と水野の再開。醍醐は水野が独自で調査を続けていることを知って腹を立てる。
〇 醍醐は川内から原稿のページ番号(ノンブル)の筆跡が違うので誰が書いたかを調べてほしいという依頼を受ける。醍醐はノンブルを振ったのは小澤だと知る。そして,原稿の順番が入れ替わっていることに気付く。
〇 醍醐は原稿の主人公が少年だと気付く。醍醐は川内から辰巳の信者で死亡した犠牲者に「一峰由希子」という人物がいることを知る。
〇 一峰と水野が会う。漫画家である貝原は友人であり自分に神の教えを説いた一峰のために辰巳と犬飼を殺していた。そして,一峰のために貝原自身の命を絶った。
〇 水野は原稿をから一峰が少年であることを見抜いていた。一峰は醍醐からのメッセージを聞く。一峰は自殺する。
〇 一峰と貝原の過去のシーンを描き終わる。
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