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〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件

6点。タイトル当てという趣向が変わっていて,本屋でいやでも目につき,文庫化したら読もうと思っていた作品。読む前から,「おそらくバカミスだろう」と思っていたが,予想を裏切らないバカミスぶり。狙って書かれたバカミスは寒い作品になってしまうことが多いが,さほどすべっていないのは作者の力量か。サプライズ型ではなく,バカで下品でありながらもしっかりとしたロジックのミステリになっている。物語はテンポよく進むし,軽くて読みやすいミステリなので,下品な作品が嫌いではなく,バカミスが好きなら読んでみてもよい作品だと思う。
評価

サプライズ ★★★☆☆
 この作品でサプライズに感じる点は,主人公の沖たち一向がヌーディストで,再従兄弟島で裸で過ごしていたという点だろう。この点は叙述トリックを使い,読者の目からごまかされている。これをにより,登場人物達が浅沼→重紀の入れ替えを疑わないという点に説得力を持たせている。この点に驚きがあるが,犯人が重紀になりすました浅川であることは驚けない。フーダニットのミステリではない。らいちが探偵役である点もやや驚けるが,それほど驚かそうとしている要素でもない。バカミスなのだが,サプライズ型ではなく論理重視型のミステリといえる。よってサプライズは低く,ヌーディストの点でやや驚ける点を考慮して★3で。

熱中度 ★★★★☆
 読者を最後まで飽きずに読ませるような工夫が随所にされている。第2章で殺人事件を入れたり,タイトル当てクイズを行うなど。再従兄弟島では3つの殺人が起こるが,実質的に謎解きにつながる殺人は成瀬殺しだけ。島に行くまでの道中や島での生活などにちょくちょく伏線を仕込みながら描いている。さほど冗長とは感じない短い作品。見え見えの展開に見えるけど,どうやって驚かすつもりだ?と期待しながら読むことができるので,熱中度はそこそこ高い。★4で。

インパクト ★★★★★
 タイトル当てという趣向,登場人物がヌーディストであるという構成,入れ替わりの際のトリックに包茎手術を使っており,登場人物が包茎であることが伏線になるなど,下品な点はあるがインパクトは大きい。★5で。

キャラクター ★★★☆☆
 裸になると「南国モード」になる主人公の沖,ヌーディストでないのに,ドイツ文学専攻のふりをしてヌーディストの研究に参加した文化人類学選考の小野寺渚,泌尿科の医師で包茎で自分に包茎手術をすることで入れ替わりトリックを成功させようとした浅川,弁護士でヌーディストである中条,探偵役の上木らいち,被害者の成瀬などキャラクターはマンガチックでありながらそこそこかけている。とはいえ,小説としてしっかり人間が書けているとはいえず,リアリティはない。キャラクターとしては★3程度

読後感 ★★★☆☆
 沖と小笠原がいったん結ばれるが3か月で自然消滅。ヌーディストだった主人公達は再従兄弟島という楽園を失う。やくざの息子の包茎手術を失敗してやくざに追われることになった浅川もなんか悲惨。読後感は良くはない。しかし,リアリティがない登場人物のため,感情移入をすることもない。よって,読後感が悪いというわけでもない。★3で。

希少価値 ★☆☆☆☆
 メフィスト賞の受賞作でバカミス。それなりに売れている様子だが人に勧めにくい下品な作品。早坂吝の今後の頑張り次第だろうが,本人もこのデビュー作を大切にしない限り,いずれは手に入りにくい怪作みたいな位置付けになる可能性もあるかも。とはいえ,現時点での希少価値はない。★1で。

総合評価 ★★★☆☆
 タイトル当てという趣向が本屋で目立っており,文庫になったら読もうと思っていた作品。予想どおりのバカミスであり,軽いミステリだった。包茎が伏線になっているなど明らかに狙って書いたバカミス。狙って書いたバカミスながら,さほどすべっていないのは作者の力量だろうか。とはいえ,キャラクターはさっぱりリアリティがない漫画的な人物ばかり。作者がちょくちょく顔をだすメタ的要素もある。ミステリ慣れしているバカミス好きという割とニッチなところを狙っている作品。sれでもそれなりに売れているのが謎ではある。文体にやや幼稚なところはあるが,許せる範囲。バカさ加減は嫌いでないが,下品で人に勧められないのが難点。下品なバカミスでありながら,サプライズ型ではなく,しっかりとしたロジック型のミステリになっている点もなんともいえずバカである。嫌いではないが,さほど好きでもない。★3で。

〇 メモ
〇 メインプロット
 登場人物達が「ヌーディスト」であること。登場人物が裸で生活していることが入れ替わりの際の手掛かりになっていいる。また,登場人物がヌーディストであることについて伏線が張られている。
〇 タイトル当て
 「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」の「〇〇〇〇〇〇〇〇」には「頭隠して知り隠さず」が入る。なお,第2章は「猫の手も借りたい」ということわざのタイトルを当てるクイズになっている。
〇 事件
 重紀と深景の殺人→深景と浅川が駆け落ちしたように見せかけ,重紀になりすました浅川が二人を殺害
 成瀬の殺人→洞窟での殺人。凶器はアイスピック。成瀬は自分の部屋を密室にする形でダイイングメッセージを残す。
〇 トリック
 デジカメを穴熊館を撮ることができる位置に仕掛ける。登場人物がヌーディストであり,裸で生活していたことから,これにより,アイスピックを持ちだすことができる人物を真犯人が,仮面をしていた人物だと分かる。そして,仮面をしていたのは重紀に成りすましていた浅川。入れ替わりに当たり,包茎手術をしていた。
〇 ダイイングメッセージ
 「針と糸の密室」が「針と糸を使って包茎手術をした」という点のメッセージになっている。
〇 2章の犯罪
 中浦は浅川の知人。浅川が再従兄島に行ったことがやくざにばれないように,浅川は中浦を殺害した。トリックは氷を使ったアリバイトリック。中浦の股間を押さえるダイイングメッセージは犯人が泌尿器科の医師であるという点を示している。
〇 アイスピックを隠す場所の確認
 探偵役のらいちは,女性二人の女性器と沖の肛門にアイスピックを隠すことができないか,密室を作ったり,性行為をして確認した。
〇 舞台
 再従兄弟島の穴熊館

〇 後日談
 沖,小野寺,中条の3人は翌年改めて再従兄弟島に行く。警察に通報され,再従兄弟島から追い出される。沖と小野寺は付き合うが,その後自然消滅
〇 登場人物
〇 沖 健太郎
 公務員(区役所職員)。裸になると性格が野生的になる。小野寺渚に好意を持っている。
〇 小野寺渚
 大学院生。ドイツ文学専攻と詐称している。本当はドイツ文学専攻ではなく,ヌーディストでもない。
〇 浅川史則
 泌尿科の医師。やくざの息子の包茎手術を失敗したことから逃亡生活を始める。そのため,黒沼重紀を殺害し,入れ替わろうとする。
〇 中条法子
 弁護士。
〇 成瀬瞬
 フリーライター。
〇 黒沼重紀
 過去に交通事故にあい仮面をしている。
〇 黒沼深景
 黒沼重紀の妻。浅川と二人で島から姿を消す。
〇 上木らいち
 探偵。
〇 中浦源平
 第2章で浅川に殺害される。猫を使ったアリバイトリックをしこむ。
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