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六色金神殺人事件

7点。「ゲッペルスの贈り物」で藤岡真の存在を知り,伝説的バカミスということで読みたいと思っていた本をついに読破。思ったほど「バカミス」ではなかった。六色金神歌に沿って発生する見立て殺人。合理的な解決などできないと思わせる連続殺人事件をそれなりにまとめている。あとから読み返すとあからさまな伏線がはられており,「よく考えられているな」と感心してしまった。藤岡真らしいつめこみっぷり。文章も読みにくい。登場人物も藤岡真作品らしい適度なアホさと,読む人を選ぶ作品。個人的には,結構楽しんで読むことができた。
評価
 サプライズ ★★★☆☆
 熱中度   ★★☆☆☆ 
 インパクト ★★★★☆
 キャラクター★★☆☆☆
 読後感   ★★★☆☆
 希少価値  ★★★★☆
 総合評価  ★★★★☆

サプライズ ★★★☆☆
 六色金神歌のとおりに見立て殺人をするという連続殺人事件。殺し方も非現実的なこの連続殺人事件をミステリーツアーの一部にしてしまうというとんでもないプロットの作品。そして,ミステリーツアーの中ですら,合理的な解決ができないとして作中作的な位置付けに落とし込み,ミステリーツアーの中で星野誠太郎殺人事件を発生させて,その犯人を鈴木明=謎丸緑司にするという力業。結局,六色金神歌のとおりにされた連続殺人事件についての合理的な解決はなかった。江面直美が猶太十支族の末裔とか温泉が湧いたりなどするという最後の怒涛の展開はさすが藤岡真というべきつめこみぶり。とんでもないバカミスであるという予備知識があったので,そこまで驚愕できなかった。予備知識なしならもっと驚けただろうけど,予備知識がなければそもそもこの本を読むことはなかったわけで・・・。難しいところだ。★3

熱中度   ★★☆☆☆ 
 六色金神歌のとおりにどんどん人が死んでいく展開。サービス精神旺盛で読ませようとしているのだが,そこまで,のめり込めなかった。まず,長い。もう少しコンパクトにまとめられたはず。毎度のことながら詰め込み過ぎである。話の展開も超展開で,江面直美遭難して死にかけて津島村に迷い込んだところからミステリーツアーに参加してしまうというところや,江面がミステリーツアーを本当の連続殺人と思い込むところなどあり得ない。そのあり得なさを少しでも隠すための記述が物語を冗長にしているように思う。どういうバカミスなんだろうという期待を持っていたから読み進めることができた。予備知識がなかったら読むのにもっと時間が掛かったかも。あまり熱中度は高くない。

インパクト ★★★☆☆
 六色金神歌のとおりに見立て殺人が起こるが,この連続殺人はテンプレ過ぎてあまりインパクトはない。ミステリーツアーという真相にはインパクトはあるが,言ってみれば夢オチみたいなもの。これを言えばどんな荒唐無稽な謎でも「合理的な解決が付かないので作中作の話です」で済んでしまう。すごいバカミスという先入観で読んだので,「こんなもの?」と思ってしまった。ラストで温泉が湧き出て謎のハッピーエンドで終わるのも,藤岡真らしい終わり方で,「藤岡真らしいなぁ」と思ってしまった。よって,そこまでのインパクトはない。★3。

キャラクター★★☆☆☆
 登場人物は全員「藤岡真作品のキャラクター」である。どこかユーモラスで,シュールである。ヒロインの江面直美は遭難して死にかけたのに,津島村にすぐ馴染む。そもそもこんなミステリーツアーが成り立つわけないしし,登場人物がちゃんとミステリーツアーでの役割を果たしているとか。藤岡真の世界のキャラクターでしかありえない世界観である。このリアリティのなさは嫌いではないが,魅力的なキャラクターとは言えない。★2で。

読後感   ★★★☆☆
 温泉が湧くと言う,それまでの六色金神伝記を無視したハッピーエンドラストで読後感がよいかというと…そんなことは全くない。読者を置いて行ってしまっているラストである。まさに作者の自己満足。読後感は良くも悪くもない。

希少価値  ★★★★☆
 絶版本。プレミア価格になっていないものもある。しかしアマゾンで3500円の文庫本もあるので,希少価値は高い。この内容だと再販もまずないだろう。図書館で借りて読んだ。

総合評価
 「ゲッペルスの贈り物」や「白菊」という藤岡真の比較的手に入りやすい作品を読んで,この作品の存在は知っていた。「伝説的なバカミス」ということでいつかは読みたいと思っていた作品。このたび,図書館で借りて読んだ。
 読み終わって感じたことは,確かにバカミスだが期待していたほどではなかったという感想。ちょっとハードルが上がり過ぎていた。六色金神歌に沿って行われる見立て殺人。これをミステリーツアーの問題とし,さらにミステリーツアーの問題の中ですら「合理的な解決ができない」としてダミーの問題扱いしてしまう力業。ミステリーツアーで当てるべき真相は,そもそも本当の被害者は星野誠太郎で鈴木明=謎丸緑司が真犯人というもの。「ミステリーツアー」を「本当の殺人事件」と誤信している人物がいるという点が,この作品の軸となるプロット。その中に六色金神伝記の解釈を挟んでいる。この「六色金神伝記」の存在が,この作品をバカミスともいえる。また,ミステリーツアーの登場人物を演じているのが六色金神伝記の主要な人物という点も面白い。総合的に見て,「よくできたミステリ」になってしまっている。ミステリーツアーだと気付けるだけの伏線は張られているし,バカバカしい物理トリックもない。歴史的バカミスという触れ込みだったので,もっとぶっとんだ物理トリックだとか,むちゃな展開を期待したのだが,この点はやや期待ハズレだった。期待しすぎたのかもしれない。温泉が湧き出るというオチの部分の持って行き方はさすが藤岡真といえる読者サービスぶり。歴史的バカミスという点ではやや期待ハズレの部分はあったが普通のバカミスとして楽しめる。文章やキャラクターはやや稚拙で,藤岡真らしい文章・キャラクターである。この辺りのリアリティのなさは,嫌いな人は嫌いだろうが,個人的にはマンがの登場人物のような藤岡真が描くキャラクターは嫌いではない。おまけの★4で。

〇 メモ
〇 事件
〇 6人の人間を歌に見立て殺人をする。
〇 成田俊彦(警察署長)凍死(赤)
 →赤天生気の見立て殺人
〇 岡島厚雄 →青天空膨の見立て殺人
〇 小野寺町長→黄天星尾の見立て殺人
〇 江面が栗栖の死体を発見
〇 貴島麗子 →白天明津の見立て殺人
〇 真奈瀬による江面と緒梶の殺人未遂
〇 星野誠太郎→ の見立て殺人
〇 栗栖英輔 →緑天御中の見立て殺人
〇 トリック・プロット
〇 津本町で行われていたイベントはミステリーツアーだった。迷い込んだ江面直美はイベントがミステリーツアーではなく本当の殺人事件だと思っている。
〇 六色金神歌と蘇神歌は同じ。
〇 偽の真相。犯人は古臣英雄。コホミヒデオはヒコホホデミ(彦火火出見)のアナグラム。古臣英雄が六色金神歌に見立てて連続殺人をしていた。
〇 ミステリーツアーの本当の真相。被害者は星野誠太郎。犯人は鈴木明=謎丸緑司。
〇 鹿島勝男はミステリーツアーの最中,本当に謎丸緑司に襲われるが死亡はしなかった。
〇 栗栖英輔(谷村武)は貴島麗子や真里亞夏海を脅していた。江面直美も襲おうとしたが,安部欣一に脅され諦める。
〇 謎丸緑司は,鹿島に会ったときに,六色金神伝記そのものがインチキだと気付いた。それでも六色金神歌と蘇神歌が同じだということを公表しようとするが鹿島に妨害される。そのため鹿島にけがをさせる。
〇 最後は温泉が湧いてみんなで喜んで終わり。
【伏線】
〇 栗栖と警官の会話「栗栖さん,この人はー」「分かってますよ。この人は違う(41ページ)。
〇 電話回線が通じないことなどについて,江面直美はフロントに直接聞かず,フロントと男性の会話を聞いている。そこでの男性の最後のセリフ「なるほど。徹底しているな。」(57ページ)
〇 警察の尋問を終えた江面に対する口髭の男性のセリフ「なにかヒントとなるような話はありましたか?」(101ページ)。

〇 登場人物
〇 江面直見(えづらなおみ)
 ヒロイン。保険調査員。青森で遭難し,津本町に迷い込む。
〇 栗栖英輔(谷村武)
 人の心を読める超能力者(という設定)。高い記憶力を持ち,脅迫をしている。貴島麗子を脅迫し,祭りに参加させた。もとチンピラで安部欣一の知り合い。最後は安部欣一に脅される。
〇 安部欣一
〇 緒梶信夫
 イベントプランニング会社の代表
〇 貴島麗子
 女優。謎丸と不倫をしている。白天明津の見立てで氷漬けの死体で発見される(という設定)。谷村に脅されて祭りに参加
〇 神山正祐
〇 謎丸緑司(本名:鈴木明)
 ミステリ作家。六色金神殺人事件(ミステリーツアー)の原作者でもある。貴島麗子と不倫をしている。
〇 小野寺杉作(清水武則)
 町長(町長役)。箒星の如く飛散という黄天星尾の見立てで殺害される(という設定)。
〇 岡島厚雄(武田晄一)
 六色金神の研究者。岩壁に打ち込んだという青天空膨の見立てで殺害される(という設定)。
〇 竹子・梅子(白鳥綾菜・若菜)
 双子の老人。ミステリーツアーのヒントを口ずさむ。
〇 土方刑事(庄子三郎)
 警察(警察役)
〇 中村京助(高柳康紀)
 キャリアの警察(警察役)。演じているのはミステリーツアーのスポンサーの帝鷹グループの総帥である高柳康紀
〇 真奈瀬勧
 六色金神祭実行委員の学芸員
〇 古臣英雄(東元智衛門)
 津本警察署所長(役)。ダミーの真相の犯人役。
〇 鹿島勝男
 ミステリーツアーの最中,蘇神歌を調べるためにやってくる。
〇 牧野十三
 鷹柳の大番頭
〇 安江智子(真里亞夏海)。
 女性時代という雑誌の記者(役)。タレント。自称オカルトエバンジェリスト。
北大路清彦
東元智衛門
安部欣哉
〇 固有名詞
 六色金神伝記
 六色金神歌
 蘇神歌
 雨浮船
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