FC2ブログ
HOME   »    »  神様ゲーム

神様ゲーム

5点。自称「神様」である「鈴木太郎」少年が登場する。鈴木太郎が本当に神様なのかも…と思わせるような設定・世界観の作品でありながら,そう断言しない。この辺りに,なんとも言えない「麻耶雄嵩」らしさを感じてしまう。子ども向けの作品として発表されたとのことだが,「親」の立場になってみると,あまり子どもには読んでほしくない内容。ラストのインパクトはすごいのだが,納得できるほどの伏線がない。よって,そこまでの意外性はない。短めの作品でテンポがよい。手軽に麻耶雄嵩らしさを味わうことができるので,読む価値があるとは思う。
評価
 サプライズ ★★★☆☆
 熱中度   ★★★★☆
 インパクト ★★★★★
 キャラクター★★☆☆☆
 読後感   ★☆☆☆☆
 希少価値  ★☆☆☆☆
 総合評価  ★★★☆☆


評価
サプライズ ★★★☆☆
 ヒロイン的な位置付けの山添ミチルが犯人の1人。この点は麻耶雄嵩の作品であるということを踏まえると想定の範囲内ではある。そして,その共犯者が,主人公の芳雄の父親と思わせる展開。これでも相当のイヤミスだが,最後で父親ではなく母親が「天誅」を受けるところでなんとも言えない衝撃を受ける。麻耶雄嵩らしい意外性といえる。とはいえ,母親が真の共犯者だと納得させるだけの伏線はない。なので,そもそもこれが天誅なのか,事故なのか,ひいては結局,鈴木君は神様なのかそうでないのか,はっきり分からない終わり方をする。閉じられないで終わるこの感覚も麻耶雄嵩らしいと言えるが,納得性がないのでそこまで大きなサプライズはない。

熱中度   ★★★★☆
 もともとジュベナイルとして描かれただけあって読みやすい。無駄な描写がなくテンポよく進む。鈴木君は神様なのかという話の中心に存在する謎と猫殺害事件の謎,そして英樹の殺人事件と興味深い謎で引っ張る。少年探偵団による捜査や推理の描写はそれほど面白いものでもないが,だらだら続かないので許容範囲

インパクト ★★★★★
 鈴木君の存在感がすごい。そして,このラスト。伏線が十分でないので意外性は薄いがインパクトはすごい。これを本当に子どもが読んだらトラウマになるのでは…。

キャラクター★★☆☆☆
 鈴木君の存在感はすごいのだが,それほど強烈なキャラクターではない。本当の神だから変に個性を出さない方がよいということか。主人公の芳雄をはじめ,少年探偵団の面々などのキャラクターも弱い。

読後感   ★☆☆☆☆
 主人公が好意を寄せるヒロイン的存在の小学生の女の子と主人公の母が真犯人というラストは最悪の読後感と言える。主人公が,父と母の実の子でないという筋書きもやるせない。麻耶雄嵩らしい作品ともいえる。こんなやつにジュベナイル小説を書かせてはダメだとも思うが,子どもって案外こういうものが好きかもとも思ってしまう。

希少価値  ★☆☆☆☆
 貴族探偵がテレビドラマになるなど,麻耶雄嵩もすっかり人気作家の仲間入り。この作品も手に入りにくいということはない。

総合評価  ★★★☆☆
「かつて子どもだったあなたと少年少女のために」というキャッチコピーで出版されたミステリーランドシリーズの1つ。殊能将之「子どもの王様」と綾辻行人の「びっくり館の殺人」しか読んだことがないが,どちらもそれほど子供向けとは感じなかった。…でこれ。これはもう,どちらかというと子どもには読んでほしくないような内容の作品である。ジュベナイル小説として書かれただけあって,入り組んだ構造ではなく,プロットはシンプル。全知全能の神様である(という)鈴木少年の存在が全て。この鈴木少年の存在をベースとして話が組み立てられている。猫殺しの犯人が「秋屋甲斐」という大学生だと分かり,そのための捜査をする中で,主人公の芳雄の親友である英樹の死体が「秘密基地」で発見される。その犯人に「天誅」を下してほしいというと主人公が好意をよせるヒロイン的存在である「山添ミチル」という小学生の少女が死ぬ。その共犯者は一見,主人公父親のように見えるのだが…ラストでは母親が天誅と思われる死に方をするという終わり方。主人公の母親が共犯者になり得る可能性はあるが,それらしい伏線は「小さい」という描写程度。ではただの事故で鈴木君は神様でもなんでもない?と思わせる可能性が残るという終わり方。なんというかインパクトがある作品ではある。とはいえ,「問題作」というにふさわしいデキの作品だと思う。じっくり寝られて作られた作品のような気もするが単なる支離滅裂な失敗作ともとれるような…。このインパクトだけでも読む価値はあるか。手放しに褒められるデキの作品ではないが…★3で。
スポンサーサイト
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
カウンター

ブックメーター
やまだんさんの読書メーター
ブクログ
ブログランキング
このサイトの価格

最新の記事
最近のコメント
カテゴリー