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福家警部補の報告

7点。小柄で童顔の福家警部補が主人公の倒叙ミステリ第3弾。倒叙モノなので,主人公対犯人という構成になる。よって犯人のキャラクターが面白さのポイントとなる。前作はこの部分が少し物足りなかった。しかし.今作では,「少女の沈黙」の菅原巽と「女神の微笑」の後藤喜子が魅力的に描かれており,面白く読めた。話運びは上手く,さらっと読める。このシリーズの弱点は最後の決め手。犯人に対し,「どうしてその程度で諦めるの?」と思ってしまう話が多いが,今作はそこまで諦めが早いとは思わなかった。倒叙モノのお手本というようなデキ
〇 総合評価 ★★★★☆
 童顔で小柄な福家警部補が活躍する倒叙ミステリのシリーズ第3弾。第1弾はそこそこ面白かったが,第2段で,話の展開,倒叙としての犯人の追い詰め方に不満があるとして厳しい評価をしていた。しかし,第3弾はうって変わってどの作品もなかなかの完成度を誇る。
 倒叙ミステリは,よほどうまく書かないと意外性はない。形として刑事(探偵)対犯人の構造になるので,主人公と犯人役のキャラクターが大きなポイントとなる。福家警部補は「コロンボ」や「古畑任三郎」に比べるとやや個性がないと思っていたが,シリーズを重ねることで,女性であったり,小柄で童顔といった特徴以外に,さまざまな分野に造詣が深く,特にサブカルチャーに造詣が深いオタクで,事務処理能力や整理整頓はともかく,犯罪捜査については極めて有能。暴力団からも恐れられているとかなり個性が出てきた。この作品では犯人約が,漫画家,元暴力団幹部,元会社経営者の技術者(法の目を潜り抜けた犯罪者を殺害している)といった前作に比べ魅力的な設定になっている。これらの犯人対福家警部補という構造はなかなか面白い。福家が犯人のめぼしを付けるポイント,犯人の追い詰め方もいい感じに描かれている。このシリーズの逆転は,最後,犯人に犯行を認めさせるポイント。この部分が今まで弱かった。この作品でも,ブローチを使った罠,ダイヤにより凶器に傷があったこと,車のウインドウの故障により指紋が残っていたこと…まぁ,及第点ギリギリといった感じ。最後の部分だけでなく,主人公と犯人の魅力,話運びの上手さで読ませるという仕上がりになっている。心に残るような作品ではないが,さらっと読む分には不満の無いデキ。★4としておきたい。

〇 禁断のプロット ★★★☆☆
 漫画家の河出みどりが,かつて一緒に漫画を描いていた友人であり,現在は敏腕編集者として自分を干そうとしている三浦真理子を風呂場での事故死に見せかけて,殺害する。福家警部補は河出みどりのファンだった。福家は,階下の住人が杖の音を聞かなかったこと,ふろ場の水の残り方から三浦真理子が倒れたときは風呂場の出入り口はしまっていたのに,発見時には開いていたと推理したことなどから,三浦真理子は殺害されたと考え,河出みどりを疑う。三浦真理子の靴やペンに指紋がないことなどから,普段から手袋をしている人を疑う。河出みどりは普段から手袋をしていた。ペンの置き方から右利きの人間がいたと推理する(三浦真理子は左利き)。福家は,河出みどりが殺害の後,指をケガしていて,普段と別の指で指紋認証をしていたことなどで,河出みどりをゆさぶる。最後は,細田理恵子と河出みどりの二人しか持っていないブローチを使って河出みどりに対し罠を仕掛け,決定的な証拠を得る。久しぶりに読んだ「福家警部補」シリーズの短編だったが,話運びが上手く,思いのほかたのしめた。相変わらず,最後の決め手となる部分が分かりづらいという欠点はあるが…。★3で。

〇 少女の沈黙 ★★★★☆
 元暴力団の幹部,菅原巽は,自分の姪を誘拐した元組長の息子である次郎を,かつての組の仲間で今はクスリを売っている金沢を利用し,チンピラの仲間割れに見せかけて殺害する。殺害現場を発見したのは交番のお巡りさん。福家は,殺害された次郎がジャケットを着ていたことから,目上の者と会おうとしていたのではないかと推理する。金沢は競馬でかなり設けており,誘拐の手伝いをする必要がない。誘拐された比奈という少女が一人でさらわれたとしか思えない状態でさらわれたことからも疑いを深める。窓に置かれたランタンにより,比奈の発見が早まったことから犯人は優しい人間だと推理し・・・菅原を疑う。ホームレスが金沢のハズレ馬券を車から盗んでいたことなどから,金沢と次郎の共犯関係を疑う。比奈に菅原の面通しをするが,比奈は菅原を庇って別人だという。その後,元暴力団員で菅原を慕う浜田という男が,自分が金沢と次郎を殺害したと自首してくる。菅原はかつてライバルだった飯森組の檜原の厚意で国外への逃亡を企てる。空港で福家は菅原と最後の対決。次郎と金沢を切ったドスには,ダイヤのような固いものでついた傷があった。その傷は菅原の指輪のダイヤでできた傷だった。この決め手で菅原は犯行を認める。これはなかなかの作品。犯人の人物像もいい。倒叙モノらしく福家が菅原を追い詰めていく小道具の切れもいいし,最後の決め手もスマート。★4で


〇 女神の微笑
 後藤秀治と喜子は,犯罪者を完全犯罪で殺害していた。今回は宝石店強盗未遂犯を爆殺する。福家は,レストランに不自然な予約があったこと,その影響で爆破の影響が少なかったことなどから,単なる誤爆ではなく,爆殺事件があったと考え,爆殺現場の近くにいた元技術者の後藤夫妻を疑う。福家は後藤の家に捜査に行き,後藤夫妻が三帆銀行の名を知らないはずなのに,その名を出したことで疑惑を深める。福家は後藤夫妻がよく行く公園での捜査,宝石店強盗未遂犯の仲間で爆弾を作る技術があると思われる安藤という男の知人の捜査などをする。福家は後藤夫妻についての調査を石松という刑事に依頼する。そして後藤夫妻がこれまでも法の目を潜り抜けた犯罪者を始末していた可能性があることを知る。その後の捜査により,後藤夫妻が宝石店強盗事件の話を公園で唇を読む方法により知っていたことに気付き,後藤夫妻に伝える。最後の決め手は指紋。犯行に使われた車
は窓が壊れており,完全に閉まらなかった。その部分に後藤秀治の指紋が残っていた。後藤夫婦は4課が連行するが,支援者の助けもあり,警察の手から逃亡する。福家のもとに「楽しかったわ。また会いましょう」というメールが来て終わり。これもなかなかの作品。決めてが指紋という点がやや不満だが,犯人,特に喜子が魅力的な犯人として描かれている。★4で。
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