FC2ブログ
HOME   »    »  ポリス猫DCの事件簿

ポリス猫DCの事件簿

4点。30人ほどの人間と100匹以上の猫が暮らす「猫島」を舞台とした連作ミステリ。一応,全体を通じた趣向として一つの事件が描かれている。猫島という舞台で,若竹七海らしいキャラクター達が登場する群像劇という印象。「魅力的な謎」や「驚き」はそれほどなく,ミステリとしてはさほど楽しめない。個人的な感想だが,若竹七海の文体があまり合わず,散漫で冗長な文章と感じてしまう。この作品も,個々の作品を読むのに時間が掛かってしまい,オチもイマイチと感じることが多く,あまり楽しめなかった。作品全体が醸し出す雰囲気はよい。
総合評価
 7つの短編とプロローグ,エピローグからなる短編集。一応,「相模湾女性連続殺人事件」という全体を通じた事件があり,その断片が各短編で描かれるという趣向があるがおまけ程度。成功しているとは言い難い。プロローグは「ポリス猫」であるDCが猫島に来たときの話,エピローグはDCの視点による話がおまけとして描かれている。シリーズやDCという猫が好き人であれば楽しめるのかもしれない。
 7つの短編はよくて標準点程度。ミステリとしての完成度が低い作品もある。猫島を舞台としており,登場人物にも共通点が多い。猫島を舞台とした群像劇としてキャラクターの活躍を楽しむ小説として読んだ方がよい。
 文体やキャラクター若竹七海らしいが,ミステリとしての完成度は若竹七海としては標準点以下だと思う。若竹七海の文体が合うのであれば楽しめると思うが,個人的には,若竹七海の文章は散漫で冗長と感じてしまい,読むのに時間が掛かってしまった。その割にはさほど面白くなかった。総合評価は★2

メモ
〇 ポリス猫の食前酒
 プロローグ。ポリス猫DCが猫島臨時派出所に連れてこられたときの話

〇 ポリス猫と多忙な相棒 ★★★☆☆
 ケイという人物が死のうとしている話。同時に,猫島臨時派出所で働く七瀬の先輩が登場。横浜の猫屋敷殺しの謎解きが出てくる。ケイという人物がSOHBIというアーティストのファンの大人の女性だと思わせる叙述トリックがあるが,実は小学生だった。横浜の猫屋敷殺しは,トキソプラズマ症で流産となった娘の犯行をにおわせる形で終わる。
 短編らしくしっかりまとまった話。二つのエピソードにつながりは薄いが,それなりの完成度。★3

〇 ポリス猫DCと草もちの謎  ★★★☆☆
 20年前の三上という男による静原亮二殺人事件の謎と,草もちの中に入れて黄金の猫像を盗もうとした事件の謎が併せて語られる。20年前の事件も,現在の事件も,モノをくわえて持って行く猫が事件のポイントになっていた。あと,ポリス猫DCがキャットアイランド・リゾート近くの土管の中に入って出られなくなるという事件が語られ,あとの事件の伏線になる。
 雰囲気は面白いが,語られる事件は平凡。まぁ,短編だからこの程度か。★3

〇 ポリス猫DCと爆弾騒動 ★★★☆☆
 日向徳という人物の犯罪シーンが冒頭から描かれる。これは叙述トリックで,猫殺害を殺人だと思わせる書き方。これはメイントリックではなく,すぐに明かされる。このとき殺害されそうになった猫が逃げ,見付けた人に賞金10万円という話がある。猫島で不発弾騒ぎがあって,猫も含めて避難をする。猫島から人がいなくなるタイミングを狙って空き巣が出るが,七瀬が気付いて阻止。10万円の賞金が出ている猫が見つかるが期限が過ぎているというオチ。ミステリとしては平凡。雰囲気を楽しむ作品。★3で。

〇 ポリス猫DCと女王陛下の秘密 ★★☆☆☆
 猫島まつりにイギリスのマン島のヴィクトリアを呼ぶという話。イギリスのマン島はマンクス猫発祥の地だけど,ヴィクトリアはフィレットだったというオチ。猫島まつりには偽のヴィクトリアというマンクス猫が来る。この猫と間違えてポリス猫DCが誘拐されるという話。怪談話も絡めて書かれる。短編なのに非常に読みにくい。もう少しシンプルに書けないものか…★2で。

〇 ポリス猫DCと南洋の仮面 ★★☆☆☆
 長咲堂と似勢屋という2件のお菓子屋の対立と,長咲屋の7歳の娘と似勢屋の猫の家出の話。水口徳子という老女が施設に入ったが,その後地に長咲堂と似勢屋のどちらが入るか争う。オチは水口徳子の甥が水口の店の後にフレーク製菓の店を出そうとしていたというモノ。7歳の娘は猫島で見つかる。ミステリ的要素は薄く,話としても面白くない。★2

〇 ポリス猫DCと消えた魔猫 ★★★☆☆
 土倉天童という彫刻家が作った魔猫の像をめぐる話。持ち主が離婚調停中に高価なものだと判明した魔猫の像を盗まれたことにしようとした話。オチは原アカネがオブジェの中に魔猫の像を入れていたというオチ。これは若竹七海らしい,日常の謎系のそれなりにまとまった話。★3で。

〇 ポリス猫DCと幻の雪男 ★★☆☆☆
 相模湾女性連続殺人事件の話。最初の被害者は石坂玲。次は羽島波留。続いて羽島波留の関係者の篠本洋子殺害される。容疑者は油川良雄。猫島では平井泉美達一行の窃盗事件騒動があるが,七瀬はこれを狂言と見抜く。油川が隠した拳銃はポリス猫DCと草もちの謎でCDが入っていた土管の中にあった。そして,相模湾女性連続殺人事件の真犯人は油川良雄の内縁の妻の緒方優美だったというオチ。これまでの短編をつなぐ趣向がある話だがそれほどの完成度ではない。飽くまで全体をつなぐ趣向はおまけという程度。短編としての完成度もそれほど高くない。★2

〇 ポリス猫のデザート
 DCだと思われる猫の夢の話。DCが殺人事件の解決に役立った話などが猫の視点で書かれる。最後は七瀬との出会いで終わる。エピローグ的な話。おまけ。採点対象外
スポンサーサイト
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
カウンター

ブックメーター
やまだんさんの読書メーター
ブクログ
ブログランキング
このサイトの価格

最新の記事
最近のコメント
カテゴリー