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女王様と私

6点。44歳,引きこもりでニートのオタクが主人公。愛用の人形を妹であると妄想していると,言葉遣いが悪い「女王様」に出会い…。裏表紙にも書いてあるが,リーダビリティは抜群。先を気になってたまらない。歌野晶午は,おそらく同世代で,歌野晶午が描く「オタク」には,リアリティを感じてしまう。どんでん返しもあるが,そこまで大きなサプライズはない。なんでもアリな世界観の作品だけに,よほどうまく終わらないと満足感が足りない。この作品の終わり方は十分インパクトはあるが,そこまで見事な終わり方ではない。あと一歩という感じ。
著者 : 歌野晶午
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2009-09-25
評価
 サプライズ ★★★☆☆
 熱中度   ★★★☆☆
 インパクト ★★★★☆
 キャラクター★★★★☆
 読後感   ★★☆☆☆
 希少価値  ★☆☆☆☆
 総合評価  ★★★☆☆

〇 サプライズ ★★★☆☆
 河合来未の正体が加藤月だったというオチがサプライズ。真藤数馬の妄想の世界という設定のため,SF的な要素もある。歌野晶午の描く河合来未=加藤月や真藤数馬の内面的な描写が結構しっかりしているので,加藤月が真藤数馬をはめようとしていたというところで驚くことができる。とはいえ,そこまで大きなサプライズがある作品ではない。
〇 熱中度   ★★★★☆
 真藤数馬の妄想の世界は,妄想の世界だけあって何でもアリ。どう進むのか興味を持って読むことができる。このあたりは,アニメやライトノベルの世界に近いのかもしれない。殺人が立て続けに起きるし,真藤数馬が逮捕され取調べを受けるところなど,どうなるのか予測できない。しかし,妄想の世界ということであっさり脱出。そこから捜査になる。三笠大雅の存在の軽さも含め,後半~終盤はかなり駆け足。このあたりを作りこめば傑作になったかも。それでもリーダビリティは高い。
〇 インパクト ★★★★☆
 真藤数馬のオタクキャラのインパクトがある。また,河合来未=加藤月もインパクト抜群。そもそも大部分が真藤数馬の妄想という構成,そして父と母を殺害していたという救いのない現実。サプライズはそれほどでもないがインパクトはかなり高い。
〇  キャラクター★★★★☆
 河合来未=加藤月もキャラクター抜群。主要な登場人物はこの二人くらい。あとは人形の絵夢。しかし,キャラクターは立っている。真藤数馬は正真正銘にむかつくキャラとして描かれている。しかし,ちょっと間違えば自分もこうなっていたかもしれないというリアリティがある。歌野晶午の世界に出てくるオタクはリアル過ぎてちょっと怖い。
〇 読後感   ★★☆☆☆
 ひどい妄想の先にある悲惨な現実。そもそも44歳ニートの引きこもりのキモオタという主人公。読後感は結構きついものがある。
〇 希少価値  ★☆☆☆☆
 歌野晶午は人気作家。希少価値はあまりない。
〇 総合評価  ★★★☆☆
 歌野晶午が描くオタクは,ちょうど,自分と世代が近いせいもあってかなりリアル。今の人生からちょっと間違っていたら,こういう生活をしていた可能性もあるというリアルな恐怖がある。そして,描かれている悲惨な現実。真藤数馬のキャラクターはかなりキツイが共感してしまう部分があるのも悲しい。
 妄想部分がそれなりにミステリとして面白い。そして,妄想世界なだけあって何でもアリ。どう話が進むか分からない興味から熱中度は高い。オチは夢オチともとれるオチで,途中のリーダビリティの高さに比べるとイマイチ。河合来未=加藤月だったというオチは読めてしまう。総合的に見ると,傑作になり損ねた作品というイメージ。歌野晶牛にはこういう作品が多そう。テイストとしては折原一に近い。ある種の人間にしか感じられない奇妙なリアリティと高いリーダビリティ。オチとサプライズがもう少しあれば…。★3で。
〇 メモ
 真藤数馬は44歳の引きこもり。プロローグは現実。進藤数馬の誕生日のシーン。続いて進藤数馬の妄想。妹扱いしているフィギュアの絵夢と日暮里の繊維街に向かう。そして日暮里で口の悪い小学生の少女に絡まられる。翌日の日曜日,渋谷に呼び出され,フランス料理をたかられる。続いて木曜日,銀座で寿司をたかられ,映画を見る。少女は来未(くるみ)と名乗り,「☆★☆★☆」のライブのチケットを公衆電話から買うように言う。
 来未からの連絡は3週間後。杠詩音という友人が殺害されたことにショックを受けていた。数馬は来未からメールアドレスを聞き,詩音についての情報を聞く。その後,小籠包の店で詩音についての話を聞く。続いて楢葉凜々香の殺人事件が起こる。凜々香も,来未と同じクラスだった。詩音はウリをしていた。凜々香は,虐待を受けている父に会いに東京に来ていた。進藤数馬は,来未のために連続殺人事件を捜査しようと考える。そして,警察官に見せる偽装をして,来未達の担任だった増田輝明の家に行く。
 増田の家に行くと増田は死んでいた。その後警察に緊急逮捕される。その後厳しい取調べを受ける。来未の同級生だった佐島香菜莉が殺害され,その凶器として真藤数馬のナイフが使われる。
 詩音,凜々香及び香菜莉の三人の殺害において,真藤を犯人とする証拠が次々と見つかる。真藤は来未来にはめられたのか。真藤は雑居棒でホモの17番という囚人に襲われ,外に出た時に連絡するように言われ,連絡先を聞く。
 真藤の前に絵夢が現れる。絵夢はこの世界は真藤の空想の世界だと告げる。絵夢は4つの願いをかなえることができるというルールを告げる。そのうちの1つの願いとして,真藤は留置所を出る。
 真藤は河合来未のモデルの撮影会の会場に行き,来未に会う。来未に真藤のことを知らない人だと言われ,真藤は来未を殺害しようとする。しかし未遂で終わり,願いを使って脱出する。次の願いで絵夢を16歳の生身の人間にして,ホテルに泊まる。
 続いて来未が殺害される。ここで,真藤は雑居棒であった16番の男に連絡する。16番の男は三笠大雅という便利屋。三笠は捜査の上,加藤月という少女が,来未達のグループにいたと告げる。その後,三笠はなぜか死ぬ。そして,真藤は三笠に紹介された整形外科医のところに行く途中で,「河合来未」を見付ける。
 真相。真藤数馬が「河合来未」として会っていたのは加藤月だった。月は整形で河合来未そっくりな顔になっていた。詩音がウリをしていたのは本当。月は詩音を殺害し,隠し持っていた携帯を奪った。そして,銀座で真藤と会っていた日に凜々香を殺害。その後,増田を殺害え真藤に罪を負わせようとする。その日に真藤のナイフ見つかったので香菜莉を殺害。最後に来未を殺害した。加藤月が死体のそばにスイレンを置いたのは,再生を願ってのこと。真藤は4つ目の願いで来未が捕まるように祈るがかなわない。そこで,空想を終わらせる。実は,4つ目の願いは,真藤が真犯人である谷口真夏の捜査をしていた三笠を殺害するために浸かっていた。
 現実。現実で真藤は父と母を殺害していた。その事実から逃れるために空想をしていたのだ。
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