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探偵の鑑定 2

7点。探偵の探偵シリーズの最終巻。万能鑑定士Qの最終巻へつながる作品でもある。しかし,内容は須磨康臣と桐嶋颯太の二人の探偵が主人公としての活躍をみせる。サプライズは特になく,王道のストーリー展開。凜田莉子が,「人の死なないミステリ」の世界から,紗崎玲奈の住む「人が死ぬ世界」に踏み込むのだが,浅倉絢奈や水鏡瑞樹も登場するため,そこまで緊張感はない。単体の作品として見れば,5点程度。しかし,各登場人物がいきいきと描かれており,万能鑑定士Qシリーズと探偵の探偵シリーズを読んできた人にとっては十分な作品
〇 評価
 サプライズ ★☆☆☆☆
 熱中度   ★★★★☆
 インパクト ★★★☆☆
 キャラクター★★★★★
 読後感   ★★★☆☆
 希少価値  ★☆☆☆☆
 総合評価  ★★★★☆

 実質的には,「探偵の鑑定」の上巻・下巻の下巻。探偵の探偵シリーズの最終巻でもあり,万能鑑定士Q最後の事件への橋渡し的な存在
 サプライズ的な要素はなし。この作品の実質的な主人公である須磨と桐嶋が中心的な立ち回りをし,二人の古巣である獅靭会と対立する。
 凜田莉子は,獅靭会に捕らわれ,緩い拷問をされるなど,そこそこひどい目にあう。最後の最後で,蔦暮亜芽里を信じ,改心させるという見せ場があるが,その程度
 紗崎玲奈も,獅靭会の№2である釜瀧を倒すが,完全な脇役。あまり活躍しない。
 浅倉絢奈や水鏡瑞樹も登場し,それなりの存在感を示す。須磨と桐嶋の二人が中心で,ヒロイン的な存在が4人いるわけで,キャラクター性は十分。あまりにタレントが多すぎて,全員,そこそこしか活躍しないのが難点か。
 話の展開は平凡というか,王道というか…。まっすぐな話となっている。ぐいぐい引き込まれるほどのストーリー展開ではないが,まさにお約束という感じで安定感がある。
 莉子と小笠原が分かれるラストはややインパクトがある。とはいえ,なんとなく分かれが予想される展開なのでサプライズはない。この部分以外にはインパクトはない。トリックらしいトリックはないし,プロットは平凡
 サスペンスも希薄。これは,凜田莉子,浅倉絢奈,水鏡瑞樹といった「人の死なないミステリ世界」の住人が多すぎるからだろう。どうせ人は死なないという安心感が根底にあるので,サスペンス感は低い。
 かといって面白くないかというとそういうわけではない。キャラクターはそろっている。そのキャラクターが自分らしく動いている。玲奈があまり活躍せず,琴葉に至っては全くの空気。しかし,王道のストーリー展開の中,莉子と小笠原の別れや「探偵の探偵」シリーズの終焉というちょっと寂しい雰囲気が,いいスパイスになっている。この作品単品だとそこまで高い評価は付けられないが,万能鑑定士Qシリーズと探偵の探偵シリーズを読んできた者にとっては,お約束として見てもよい作品だと思う。水鏡探偵や特等添乗員シリーズを読んでいれば,もっと面白かっただろう。
 この本の位置付けが,単品の評価ではなく,シリーズ作品としての評価につながる。そういう位置付けとして★4としたい。

〇 メモ
 凜田莉子は,獅靭会に誘拐される。探偵の鑑定1におけるトランプのカードを探しは,莉子に対する獅靭会の入社試験だった。獅靭会は姥妙のトリニティ構想に資金援助をしており,広い情報網を持っていた。須磨は,カードに示された情報が偽情報であると警察に伝える。しかし,警察を動かすことは難しい。須磨は佐伯に本当はどの港に入港するか,調べさせる。新潟県に近い船があることを見付ける。須磨達は新潟の港に行くが,獅靭会はチンピラしかいなかった。小笠原がへまをし,須磨がケガを負う。新潟も陽動だった。須磨は警察の信頼を失う。
 獅靭会は,偽の海水淡水化施設を建設し,八重島に組員を送り込む。八重島の住人を人質にする。栗城という莉子の先輩に当たる鑑定係が,失態を演じ,莉子の前で暴力を受ける。
 須磨は,福島県に行き,元妻である笙子に会う。右手の治療をする。
 莉子は,栗城親子とともに,獅靭会からの脱出を図る。栗城親子は脱出に成功するが,莉子は亜芽里に捕まる。そして,亜芽里から水責めの拷問を受ける。更に,八重島の住人の殺害をほのめかされ,獅靭会の雇用契約書にサインをする。
 玲奈は,万能鑑定士Qの事務所に残されたスワジランドの記念コインから,浅倉絢奈に辿り着く。絢奈から,エンジニア用の位置情報特定アプリの情報を聞き出す。
 莉子は,獅靭会での初仕事として,岩淵紘志という元チンピラが幹部の妻からネックレスを盗み出したことを暴く。
 栗城親子は株式会社スマ・リサーチにコンタクトを取り,須磨に会う。須磨は栗城親子から獅靭会の情報を聞き出す。
 霞が関の文部科学省にある不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォースがある。そのタスクフォースに所属する水鏡瑞樹という事務官は,八重島の海水淡水化装置の設置を怪しむ。瑞樹達一行は調査のために,波照間島に向かう。
 莉子は,亜芽里の地方回りに同行する。新幹線の中で,スマホを起動することに成功する。玲奈のスマホの位置情報特定アプリが起動する。絢奈の助言で,莉子が新幹線で移動していることを知る。
 玲奈は東京駅で,亜芽里の前に立ちふさがる。栗城と佐伯から情報を得た,須磨と桐嶋も東京駅に着き,獅靭会と銃撃戦をする。
 莉子は亜芽里が祖父や組織の後ろ盾がないと何もできないと見抜き,一人でも傷ついたら協力しないと強気な反抗を見せる。
 警察は獅靭会への捜査を中断する。
 須磨は自分が逮捕されたときのために,土井を社長とする新会社「グランドウェル」を設立する。
 小笠原は,元同僚の宮牧から「警視庁のトップが,獅靭会に弱みを握られている」という情報を得る。警視庁は,新潟で,令状なしに強制捜査を無理強いした。獅靭会系列の会社が訴えると言ってきたところ,獅靭会と警視庁が裏取引をしたという。
 亜芽里は絢奈に接触する。絢奈は機転により事実を告げることで亜芽里を騙す。
 須磨と桐嶋は,栗城や佐伯の助けを受け,獅靭会に立ち向かう準備を進める。玲奈と琴葉も,最後に一度だけ莉子を助けるために探偵活動を行うことを決意する。
 瑞樹は,波照間島での調査を行う。やくざの勤務の日などから,何かがあるとすれば月曜日だと見抜く。
 渋谷の貸会議室に須磨,桐嶋達があつまる。須磨の元妻の笙子や,スマ・リサーチの土井達,玲奈と琴葉もやってくる。瑞樹から,鴨井という探偵を通じ,日程が月曜であるという情報がもたらされる。絢奈から観光庁の壱条から得た情報から,入港は千葉県の阿賀詞港だと考える。
 玲奈は警察に連絡し,月曜日と阿賀詞港の情報を与える。
 阿賀詞港で,獅靭会を須磨達が襲撃する。莉子は鑑定しないと抵抗する。混乱の中,亜芽里は釜瀧に狙われる。玲奈は釜瀧を倒す。莉子は亜芽里を信じる。
 須磨と桐嶋は蔦暮会長と対峙する。幹部と対立しているように見せかけ,なにも知らないお山の大将を演じていた蔦暮が黒幕だった。須磨は蔦暮蹴り,失神させる。
 須磨と桐嶋は亜芽里を含む,玲奈達を拘束する。須磨と桐嶋は自ら逮捕される。
 小笠原は株式会社グランドウェルに就職。探偵になる。
 莉子は万能鑑定士Qの事務所を閉める。
 莉子は小笠原との別れを選択する。玲奈は父親と仲直りをする。
 莉子はUNEAP(故宮博物院と大英博物館の鑑定をも担う最高権威を誇るNGO)に迎えたいという誘いを受ける。
 波照間島の海水淡水化装置の事業は,政府のほか,カンツォネッタ・グループ・ホールディングス,ベランジェール,音韻時,ソランジュほか多数の企業が寄付を申し出ており,事業が継続されるという。
 莉子はムンクの叫びについての依頼を受ける。コピアが絡む事件だという。
 最後は玲奈と琴葉の別れのシーン
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