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詭弁論理学

5点。前半部分は,「強弁」と「詭弁」についての解説をした上で,正しい議論をするための原則を示している。後半部分は,議論が苦手な人のために,論理のパズルが紹介されている。紹介されているパズルは古典ばかり。問題の目新しさはないが,非常に丁寧に解説がされている。一つ一つの文章はユーモアがあり,読みやすい。しかし,全体の構成がイマイチ。思いついたままに,思いついたことが書かれているため,論理についての著者の一貫した主張が伝わりにくい。面白くないわけではないが,オビの「名著刷新」はハードル上げ過ぎと感じた。
評価
 人喰いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど,論理パズルの古典を題材に論理のあそびについて書かれた一冊。論理を知ることで強弁や詭弁に打ち勝つことを目的としている。
 細かい記述,小話の一つ一つは面白い。更に,強弁術や詭弁術の総括があって,一応,強弁や詭弁とは何か…という点と,強弁や詭弁に騙されないようにするには,どうすればよいか…という点が書かれている。しかし,それでも,強弁とは何か,詭弁とは何かが分かりにくい。強弁の一例,詭弁の一例が紹介されているに過ぎないように感じてしまう。
 論理パズルとしては,古典ばかり紹介されている。ほとんど聞いたことがあるパズルばかりだった。知らなかったのは床屋のパラドックスくらい。
 面白くない本ではないのだが,傑作というほどとは感じなかった。「名著刷新!」というオビで期待しすぎてしまったかも
 論理について体系的な知識を得たいと思って読んだが,断片的な知識が増えたというイメージ。思いついたままに記述されていると感じた点もマイナス。体系的に頭に入らなかった。
 パズル部分と,その解説,それから結論という構成なら印象が変わったかもしれない。
 トータルでの評価は★3かな。

メモ
1 議論の種々相
 強弁と詭弁の違いと3問の論理パズルの紹介

2 強弁術
 小児病患者。自己矛盾に陥っても,常に相手を押さえつけようとする。妥協ということを知らない。
 魔女狩りを使った「二分法」の解説。「相殺法」
 強弁術→相手の言うことを聞かない,自分の主張に自信を持っている、逆らうものは悪魔(レッテル),自分のいいたいことを繰り返す,おどし,泣き又はしゃべりまくる

3 詭弁術
 「本質的な」という言葉は,「おれがいいたい」と同義
 詭弁術→定義をあいまいにして,結論を簡潔に,関係ないことを長々と述べる。
 論点のすり替え,主張の言いかえ,消去法,ドミノ理論といった詭弁の手法の紹介がされている。
 正しい議論のための原則は次の4つ。 
1 無理やり説得しようとしない
2 時間を惜しまない。打ち切ることを惜しまない
 ただし,相手が強弁,詭弁を弄してきたら,もはや正しい議論は望めないので打ち切る。
3 結論の吟味を忘れない
 健全な常識に反する結論は捨てる。健全な常識に反する結論に対しては,「あなたの考え方には,ついていけません」という反論で十分
4 分からないことを恥じない。
 論理の飛躍や二分法に騙されないために,「わかった」ところまで戻って議論をする。

4 論理のあそび
 論理パズルの紹介。個室が12個。客は13人。そこで,最初の部屋に1人目と13人目を入れる。それから3人目を2号室に入れ,…12人目を11号室に入れる。最初に1号室に入れたうちの1人12号室に入れるというもの。
 これは2人目を飛ばしているというトリック。
 AにB,C,Dの3人が1000円ずつ渡して3000円のものを買ってもらう。Aは500円値切って買って,200着服した。B,C,Dは100円ずつ返してもらった。B,C,Dは900円ずつ払っていたので2700円の出費。Aは200円着服した。これをたすと2900円。100円はどこに消えた?
 Aが着服した200円は2700円の一部なので,200円を2700円に足しても意味がない。
 分かれ道がある。一つの道は天国に,一つの道は地獄に続いている。そこには二人の人物AとBが立っている。このどちらかは必ず嘘をつき,どちらかは必ず本当のことを言う。質問は1回しかできない。天国に行くにはどんな質問をすればよいか。
 答えは,「あなたは,「この道が天国に行く道ですか」と聞かれたら「はい」と答えますか」
 自己矛盾を利用したパラドックス。自分自身に言及する分は,パラドックスを生じさせるか,意味をなさないものになる。「この鍵かっこの中に書いてあることはウソです」は矛盾する。と「この鍵かっこの中に書いてあることは本当です」は意味をなさない。
 40人の貴族とその従者の話。40人の貴族がそれぞれ1人の従者と暮らす。従者は悪いことをしている。どの貴族も,ほかの貴族の従者が悪者であることは知っているが,自分の従者が悪者であることはしらない。王様から,「少なくとも一人は従者の中に悪者がいる。40日目までに,自分の従者が悪者であると分かった貴族は,直ちに従者の首をはねよ」と命令した。命令に背くと貴族の首をはねるという。40日目に,貴族は,39日間,どの従者も死んでいないという事実を知った。一斉に従者の首がはねられたというもの
 2人の貴族であると仮定すれば,1日目に他方の貴族が従者の首を切らなかったという事実をしれば,次の日の朝に首を切れる。3人なら3日目の朝。同様に40人なら40日目の朝になる。
 理髪師のパラドックス。ABCが働いている床屋。AとBは同時に外出しなければならない。三人がそろって外出してはならない。Cが外出すると,AとBは一緒に外出できないし,AとBは同時に外出してはならない。よって,二つが矛盾する。矛盾する結論になるので,前提となるCが外出するが間違っている。したがって,Cは外出できないというパラドックス。
 原因は,大切な前提が省略されている点にある。Aが外出するときは,Bが残らなければならないというのは,Cが外出する場合の話である。また,Bが残らなければならないのは,AとCが同時に外出するときの話である。
 死刑囚のパラドックス。「Aを今週の土曜日から来週の金曜日の夕方までに処刑しなければならない。しかし,若者が,当日の朝に「今日は殺される」と分かってしまう日には殺してはならない」という命令があるとする。この命令を守ることはできないというパラドックス
 言葉と自己矛盾の問題。前提に矛盾を含むので,パラドックスが生じている。すなわち,「今日殺されると分かる日には殺してはならない」という命令そのものを条件として,今日殺されるということが分かってしまうので,パラドックスが生じているのだ。
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