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万能鑑定士Qの推理劇 1

7点。凜田莉子の上京のシーン,チープグッズでの成長シーンなどが改めて描かれている。事件簿シリーズを1巻から12巻まで読むのはちょっと…という人が,シリーズの最初に読むには最適とも思える作品。関根智貴など,事件簿シリーズを読んでいた人には懐かしい人物も出ている。内容は盛りだくさんで,詰め込み過ぎととも思えるが,テンポはいい。「宝石鑑定トーナメント」が描かれるなど,ゲーム性,エンターテイメント性の高い仕上がりになっている。登場人物が多すぎて、それぞれのキャラクターが掘り下げられていないのが残念な点。
著者 : 松岡圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2011-12-22
〇 総合評価 ★★★★☆
 万能鑑定士Qの別シリーズ。莉子が上京するシーンから描かれている。全体の作りは,このシリーズらしく,短編集のような構成。序盤は,莉子の状況から,チープグッズでの修行のシーンが描かれる。それから角川書店での騒動を解決し,後半は宝石鑑定トーナメント。それから,アパレル業界の流行色を利用した詐欺へと続く。
 宝石鑑定トーナメントのメイントリックが,万能鑑定士Qの事件簿Ⅸのモナ・リザの鑑定の際に,莉子が陥った罠と同じである点は,ややマイナス。あと,少し詰め込み過ぎとの印象はある。その分,展開はスピーディ。万能鑑定士Qの事件簿シリーズを1から12まで読むのは大変という人には,シリーズ入門としていいかもしれない。そういう意味では,事件簿シリーズで最も好評であるⅨのメイントリックを流用しているのも,作者の計画のうちなのかもしれない。
 自閉症の娘という部分は,マジシャンにつながる部分もある。全体的に見て,傑作とは言えないが良作。登場人物である槌谷廉,浪滝琉聖,蓮木愛美,宇城颯馬などの登場人物は,もう少し掘り下げてほしかったところはあるが,それなりに魅力的ではある。雨森花蓮が,絶対に関わるなと莉子に言っていた,孤比類巻(コピア)という贋作士がちらっと出ているのも面白い。
 トータル評価としてはギリギリ★4。万能鑑定士Qシリーズ全体を俯瞰する作品としておすすめできる作品

◯ メモ
◯ プロローグは,凜田莉子が沖縄から東京に上京する飛行機のシーン。飛行機は,危険物を積んでいるという謎のMDからの音声の影響で,東京ではなく北海道にフライトする。莉子はこの飛行機で槌谷廉という人物に出会う。
〇 上京したばかりの凜田莉子。就職活動に失敗し,チープグッズでアルバイトを始める。チープグッズで成長していく様子が描かれる。
〇 現在の沖縄での事件が描かれる。沖縄で,槌谷と再会する。莉子は槌谷の悪事(ガリウムのナイフと郵便を利用した強盗)を暴く。更に,上京するときのハイジャック騒ぎの犯人が槌谷であることも暴く。
〇 角川書店のパーティで,騒ぎが起こる。クロークのスーツにナイフを突きつけられたという騒ぎと,専務のネックレスが無くなった事件。警備員をパーティ会場に連れてくるのが目的。警備員がいなくなったところを狙い,HDDのデータとコミックの見本本などを盗んでいた。オクタゴン習志野店という店が黒幕。莉子の機転で犯行を暴く。
〇 莉子は,ゴールデン・プログレス協会の宝石鑑定トーナメントに参加することになる。浪滝琉聖が黒幕。蓮木愛美という女性鑑定家を日本一の宝石鑑定士の座から引きずり落そうとしている。
〇 宝石鑑定トーナメントのルールはカプセル入り玩具販売機を使ったもの。出てきた宝石を30秒で鑑定するというルール。愛美と莉子は誤答ゼロで1回戦を突破する。
〇 愛美の部屋でのトラブル発生。不穏な空気。小笠原は謎の暗号文を見つける。莉子は,このトーナメントのからくりを見つける。カプセル入り玩具販売機は,出てくる順番を調整することができる。例えば,先行(本物を選ぶ)に全て本物が出てくるようにすれば,先行の人が選んださらには本物しか乗らず,正解率は100パーセントになるというからくり。
〇 莉子は愛美を説得するが,愛美は聞かない。決勝で莉子と愛美が対戦する。莉子が勝つかと思われたが…愛美が誤答ゼロで優勝する。
〇 莉子はロンドンである御前鑑定に罠があるかと思い,ロンドンに向かう。国境で足止めされそうになるが,浅倉綺奈に会い,綺奈のラテラルシンキングで救われる。莉子達がフェリーに駆け込み乗車をしたために,チケットを購入した時間が,出港した時間より後になっていたことが疑われていた。
〇 愛美は御前鑑定で宝石をイミテーションと鑑定する。トーナメントは愛美から正確な鑑定眼を奪うための罠だった(万能鑑定士Qの事件簿Ⅸのモナ・リザのときと同じトリック)。莉子からの説得を受け,愛美は御前鑑定にもう一度挑戦し,参加を許される。
〇 愛美を失脚させるという浪滝琉聖の計画は失敗。浪滝琉聖は自閉症の自分の娘のために,莫大な金が必要だった。そこで,アパレル業界を利用した計画をしかける。グレーの記事を買い占め,日本流行色協会のアンケートをすり替え,グレーを流行色にするという計画だった。オクタゴン騒ぎの黒幕も浪滝琉聖。印刷業界全体に揺さぶりを掛け,データを差し替えさせることが目的だった。
〇 浪滝琉聖は,偽の宝石づくりを,孤比類巻(コピア)に頼んでいた。複製とはひとつだった本物が二つに増えることに過ぎない,とうそぶく男
〇 莉子は,オクタゴン習志野店の店長のもとに送られていた100万円の札束の帯紙から,浪滝琉聖の居場所を暴いた。
〇 最後は波照間島での宴会。莉子,小笠原,宇城,愛美が参加している。莉子と小笠原はいい雰囲気
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