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万能鑑定士Qの短編集 2

6点。万能鑑定士Qシリーズの2作目の短編集。前作は,各作品に,ジャック・オブ・オールドトレーダーズという質屋が舞台という緩やかなつながりがあったが,今作はない。その分,作品はバラエティに富んでいる。雨森花蓮が登場する作品があったり,催眠シリーズの嵯峨敏也が登場する話があるなど,ファンサービスも豊富。各作品とも,松岡圭祐らしい話づくりのうまさは感じるが,トリックはチープであり,ミステリとしての完成度は低め。白眉は,「チェリー・ブロッサムの憂鬱」。ソメイヨシノの絶滅という長編でも扱えそうなテーマの作品


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やまだんさんの読書メーター
著者 : 松岡圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2012-12-25
〇 総合評価 ★★★☆☆
 万能鑑定士Qシリーズの2作目の短編集。1作目はジャック・オブ・オールドトレーダーズという質屋を舞台とするという緩やかなつながりがあったが,今作は,そのようなつながりはない。その分,作品はバラエティに富んでいる。雨森花蓮が登場する話があったり,「催眠」シリーズの登場人物である嵯峨敏也が登場する話があったり,莉子の高校時代の同級生である溝塚琴帆が登場したり。話づくりはさすがの読みやすさだが,トリックはチープ。「物理的不可能」は,トランクスルーという車の作りなどを利用したもの。「雨森花蓮の出所」はトリックらしいトリックがない,1円銀貨についてのうんちくだけの話。「見えない人間」は宝くじの当選と当選金を奪うために,外国の戦場だと思わせる映画のエキストラのようなものを使うというトリック。「賢者の贈り物」は,クレプトマニア(窃盗症)がテーマで本を利用して特定の数字を導き出すというマジック程度のトリック。チェリーブロッサムの憂鬱は,ウイルスによるソメイヨシノ絶滅の危機という松岡圭祐なら長編にでもできそうなテーマこれがこの短編集の白眉かな。通勤電車や寝る前に最適な作品。★3で。

〇 メモ
〇 第1話 物理的不可能
 金券ショップの店員鴨嶺智久が主人公。1万1762点の中国の希少な切手の取引に立ち会うことになる。総額は9億6000万円。あまりに高額な取引のため,ルシファ保険株式会社の沢木という人物が立ち会っている。運搬には最も信頼できると思っていた元警官の藤林徹也と俊平といういとこの兄弟に頼んだ。
 凜田莉子は鑑定士として取引に立ち会う。誰にもすり替える隙はないと思われたが,切手が偽物にすり替えられていた。
 真相は,藤林徹也と俊平の二人が犯人。京都のレンタカー屋でリアのガラスにフィルムが貼られている車を借りた。苅田車はトランクスルーであり,内部でトランクのモノに触れることができたのだ。
〇 第2話 雨森花蓮の出所
 万能贋作者の雨森花蓮が出所する。花蓮は,出所したあと,クロネコのヨゾラを引き取りに来て,莉子と再会する。今回の話は古銭にまつわる詐欺。莉子は,母親が笹倉保育園を経営しているという笹倉沙季という少女から,明治初期の1円銀貨の鑑定を依頼され,合計で,店での売値が300万円ほどになると鑑定する。しかし,沙季は蜂島コインという店の店主にだまし取られてしまう。花蓮は,ひょんないきさつから贋作を明治8年の1円銀貨の贋作を作り,蜂島コインから沙季の1円銀貨を取り戻す。そして,クリスマスプレゼントとして,1円銀貨を笹倉保育園に返した。
〇 第3話 見えない人間
 半月に一度,莉子は牛込署に呼ばれ警察から依頼を受けた品の鑑定をしている。莉子が警察で鑑定をしていると芳野里佳という女性が,行方不明になった父を探してほしいと依頼してきた。
 依頼の最中,莉子は高校時代の同級生である溝塚琴帆に再会する。琴帆は女優を目指しているがほぼ無職状態。琴帆は映画のエキストラのオーディションに莉子を誘う。
 芳野里佳の父は高額の宝くじに当選していた。その高額の金を奪うために,映画のエキストラを利用した詐欺をしていたのだ。アジアの危険な国に連れ去られたと思わせ,銀行の口座や暗証番号を聞き出そうとしていたのだった。莉子の機転に気付き,牛込署の葉山らが踏み込むことで解決した。
〇 第4話 賢者の贈り物
 嵯峨敏也が登場する。OLである坂城紫苑の兄二人は泥棒をしていた。紫苑は悩んだ末,兄たちの犯罪を警察に通報する。しかし,紫苑の兄たちが行った10数件の窃盗は,一つも被害届が出されていないという。真相は,紫苑の兄たちはクレプトマニア(窃盗症)だった。紫苑の父は,自ら窃盗に入る家を用意し,紫苑の兄たちに窃盗をさせ,それを知人に買い取らせることで小遣いを与えていたのだ。莉子と嵯峨は真相を解明し,嵯峨は兄弟のクレプトマニアを治療する。
〇 第5話 チェリーブロッサムの憂鬱
 ソメイヨシノが枯れ果てるという事件が起こる。新種のウイルスが原因だった。最初の1本のほか7本が感染し,11本に感染の恐れがある。感染力が非常に高いウイルスであり,全国の桜が絶滅の危機に瀕する。莉子は小笠原と恵比寿ガーデンプレイスのジョエル・ロプションというミシュラン三つ星のレストランで食事をする約束をしていたが,マスコミも大忙しで約束を果たすことは難しそうな状況だった。その後,ウイルスに感染した桜に火がはなたれれる。莉子は偶然に火が発生する前に立ち会い,火が付いた桜から枝を取る。その枝を准教授の氷室に調査してもらうと,5ミリほどの針らしきものがあった。莉子が捜査を続けると,浜川由貴という二課の警部補に目を付けられる。捜査の結果,桜から見つかった針を購入したのはステファン・コリンズというアメリカ人だった。ステファンから巣岡泰志という元芸能マネージャーにつながる。犯人は,ソメイヨシノにそっくりのショクショクザクラを生み出した,日本嘱植大学の久富祥吾准教授だった。久富が,ソメイヨシノを絶滅させ,ショクショクザクラを売り込むためにこの犯罪をしていた。ウイルスの保管場所はシルヴェーヌという美容院だった。小笠原と莉子は,事件を解決した後,桜が花びらを舞い散らせる誰もいないガーデンプレイスで缶コーヒーとクロワッサンでディナーをするというラスト
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