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万能鑑定士Qの短編集1

6点。凜田莉子が1か月間,ジャック・オブ・オールドトレーダーズという質屋の手伝いをするという設定の短編集。個々の短編の内容は,ほぼ独立している。万能鑑定士Qシリーズは,もともと,細かいエピソードを積み重ねて描くという作品が多く,短編になっても違和感はない。各作品はとても軽いアイデアで描かれている。小笠原の昔のクラスメイト(女性)が現れたり,浅倉綺奈という別作品の主人公を出すなどファンサービスは豊富。たわいもない話ばかりだが,面白くないわけではない。通勤電車や寝る前に読む作品に仕上がっている。


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著者 : 松岡圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2012-10-25
〇 総合評価 ★★★☆☆
凜田莉子がジャック・オブ・オールドトレーダーズという質屋に出向するという設定で描かれた短編集。もともと,万能鑑定士Qのシリーズは,長編であっても,小さなエピソードを重ねていたので,短編には向いている。短編集1は,ジャック・オブ・オールドトレーダーズという質屋に出向するという設定にしたので,小笠原だけでなく,香河崎慧や駒澤直哉というったキャラクターを登場させている。各短編のレベルはそこそこ。それなりに面白いが,ちょっとしたトリックの話。通勤電車や寝る前にちょっと読む分には最適だろう。トリックは,推理クイズや頭の体操レベルのちょっとした謎。それをそれなりの話にしているのは松岡圭佑の手腕だろう。小笠原と莉子のロマンスを描いたり,津島瑠美という小笠原の昔の彼女を登場させたり,浅倉絢奈という別シリーズの主人公を登場させるなどして,適度に盛り上げている。トータルで見た満足度は★3。まさに可もなく不可もなくという感じの短編集だ。

◯メモ
◯第1凜田莉子登場
ジャック・オブ・オールドトレーダーズという質屋が舞台のシリーズ。香河崎慧とその甥である駒澤直哉が中心となって働いている同質屋に1か月間,莉子が代打の鑑定士として出向するという展開。最初の話は,丹波彰と名乗る人物(笹森健三)が,ニセモノは捨てるというジャック・オブ・オールドトレーダーズのやり方を知って,同店の秘蔵のK.R.Vという腕時計を騙し盗ろうとした話。精巧なニセモノを次々持ち込み,最後にK.R.Vのニセモノを持ち込んで,店にある物もニセモノだと思い込んだ香河崎に捨てさせ,ゴミから回収するという計画。莉子と駒澤は,出張査定として店外におびき出していたが,すんでのところで莉子が気付き,丹波の計画を阻止する。
◯第2話水晶に秘めし詭計
週刊角川の記者である小笠原悠斗が登場。小笠原は,実家が浸水したので,一時的にお金が必要になる。そこで,家宝の「風と光の女」という水晶をジャック・オブ・オールドトレーダズに質入れする。同店の一部を借り洋書の古書の店を出店していた友岡という男が,ブックボックス(中にものが入るが,外観は数冊の洋書に見える。)と氷細工の「風と光と女」を利用して,水晶の「風と光と女」を奪う。莉子と駒澤は,友岡の詭計を見抜き,水晶を取り戻す。なお,莉子の機転と知識で,古文書の謎を解,小判のあり方を突き止めるエピソードもある。
◯第3話バスケットの長い旅
安斎という男が,海に沈んでいるものをジャック・オブ・トレーダーズに持ち込む。その中に変わった形状のバスケットがあった。使い方が分からない莉子は,万能鑑定士Qのブログに画像をアップする。その後,常連の峰橋という男がバスケットを買いに来る。バイトの栗林はバスケット峰橋に売る。その後,謎の男が万能鑑定士Qのブログを見たとして,バスケットを誰に売ったか教えろと言ってくる。その後,峰橋の家のガレージに泥棒が入る。莉子と駒澤はバスケットが一体どういうものなのか,調査を始める。峰橋の家に脅迫文が届き,莉子達は店にあるバスケットを持ち出す。実は,峰橋は犯人とグルだった。バスケットは視聴率調査会社から依頼を受けたサンプル抽出業者がイカサマをするために使っていたものだった。新犯人の須磨という男は,真相を隠すために莉子を襲おうとするが,すんでのところで小笠原と駒澤に助けられる。なお,この話で,小笠原の中・高校生時代の同級生である津島瑠美が登場する。
◯第4話絵画泥棒と添乗員
添乗員の浅倉絢奈が登場。河口湖神馬美術館で絵の盗難騒ぎ(贋作へのすり替え)が行われる。絢奈が添乗員をしているツアーの客のふりをして忍び込み,バヨン=ルイの「旅路」などの絵画泥棒をニセモノとすり替えた疑い。犯人は外国人と思われる。いろいろなしがらみから,絢奈と莉子が本物を取り戻すために捜査をする。莉子のロジカルシンキングで,犯人と目されるラウ・フーチョンという人物に行き着くが,同人は既に出国していた。どうやって本物をの絵を海外に持ち出したのか?真相は,そもそも狂言だった。美術館の経営者の神馬は偽物をつかまされたので,保険金を騙し盗るために狂言を計った。絢奈はラテラルシンキングで,ラウ・フーチョンが海外にあっさり出国できたのは何も盗っていなかったからだとつきとめたのだ。
◯第5話長いお別れ
超人気アイドルグループの選抜48人で編成されたスペシャルユニットJPN48。同ユニットの握手券をめぐるトラブル。大亜印刷株式会社という印刷会社と,甲陵製紙という製紙会社が関わって握手券を作成している。大東亜印刷の岩垣という人物から,甲陵製紙の高須という男が握手券の偽造と販売を行っているという。莉子と小笠原が調査をした結果,高須も騙されており,偽造の真犯人は岩垣だった。岩垣は破棄する必要がある試作品の200枚のチケットを使って,高須を騙して甲陵製紙の開発する紙を手に入れようとしていたのだ。この作品で,小笠原と津島瑠美との関係が終わる。莉子は,1か月の出向を終え,ジャック・オブ・オールドトレーダーズを去る。
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