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万能鑑定士Qの事件簿 9

6点。日本でモナ・リザ展が開催されることになり,その臨時学芸員の候補者に凜田莉子が選ばれる。モナ・リザについてのうんちくも豊富。話の展開も意外性がある。起承転結で描かれた,基本的なよくできたお話というイメージ。映画原作ということもあって,シリーズの代表作という位置付けだが,個人的な評価はそこまで高くない。途中の展開がやや冗長なのと,莉子が鑑定能力を失うくだりなどに,あまりリアリティを見出すことができなかった。面白くないわけではないが,シリーズ中でも平均的なデキの作品だと思う。小笠原が活躍する点はよい。


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〇 概要
 凜田莉子は,37年ぶりに日本で開催されるモナ・リザ展の臨時学芸員の候補に選ばれる。万能鑑定士として,これまで培ってきたノウハウと,高い感受性を持つ莉子ならではの直観を鍛え,龍泉寺里桜ともに,ルーブル美術館の学芸員,ブレのもとで試練ともいうべきテストをクリアする。しかし,その後,モナ・リザの瞳の中の文字を見た莉子はスランプに陥ってしまい…背後に隠された恐るべき陰謀。果たして,莉子はモナ・リザの危機に立ち向かえるのか?

〇 総合評価 ★★★☆☆
 日本で開催されるモナ・リザ展を狙って,モナ・リザを偽物にすり替えるという話のスケールは大きいが,描かれているトリックが小粒。莉子が鑑定能力を失ってしまって,波照間島に帰ってしまうという展開は予想外で,インパクトはある。どうしてこうなってしまったのか,予想がつかないが,真相がやや平凡。しかし,直観で真作を選ぶ訓練を繰り返すことで,間違った形でしか知覚が働かなくなるか…?ややリアリティにも欠ける。モナ・リザのすり替え部分は電卓のキーを利用したやや稚拙なトリック。海外へは,ダヴィンチ・コードの宣伝用看板に模して搬出しようとしたものだったというのは,バカミス感がある。総じて,面白くないわけではないのだが,シリーズ随一の傑作といえるほどではないと思う。駄作というほどでもないので,シリーズの1作品として普通に読めば,普通に楽しめる。小笠原が思いのほか活躍する話なので,彼のファンなら評価も高まるか。★3で。

〇 サプライズ ★★★☆☆
 話全体としては,臨時学芸員になるはずの莉子がスランプに陥り,万能鑑定士Qの店を閉めて波照間島に帰っていしまうという予想外の展開を見せるので,ややサプライズはある。しかし,全体としてはそこまでのサプライズはない。ブレのふりをしていたウラジミール・ツェネヴァと龍泉寺里桜の企みは,ミステリとしては平凡だし,12枚の中から真作を選ばせるトリックも,そこまで驚けない。サプライズはおまけの★3程度

〇 熱中度
 小笠原がカサンドラ・メイスフィールドの同行取材に連れ出されたり,途中,莉子が波照間島に帰ってしまうなど,ストーリーは予想外の展開を見せるが,莉子と里桜のブレとの間とのやり取りはやや平凡。そこまでのリーダビリティはない。普通。★3

〇 インパクト
 モナ・リザの瞳の文字を見て,莉子が鑑定能力を失うという展開はインパクトがある。しかし,物語のメイントリックであるモナ・リザのすり替えのインパクトは平凡。トータルでは★3か。

〇 キャラクター ★★★☆☆
 レギュラーキャラは安定。この作品のキャラとしてはルーブルの学芸員のケネス・アリンガム,黒幕のウラジミール・ツェネヴァや,莉子と同じ臨時学芸員候補となった龍泉寺里桜といった面々。それなりのキャラクター性はあるがその程度。堰代延男がいい味出している。★3かな。

〇 読後感 ★★★★☆
 ハッピーエンド。雨森花蓮もちょっと出てきて,読後感は良好

〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
 ベストセラーシリーズの代表作。希少価値はない。

〇 メモ
〇 プロローグは,ルーブル美術館に20年間務めたケネス・アリンガムという学芸員と凜田莉子との出会い。
〇 角川書店の宣材課(街頭看板の管理をする部署)の課長,堰代延男と小笠原悠斗とのシーン。
〇 小笠原悠斗からの紹介で,凜田莉子は,モナ・リザについてのアンケートに答える。その結果,莉子は文化庁に呼ばれ,日本で開催されるモナ・リザ展のスタッフの候補者に推薦される。2週間後にパリで行われるテストに参加することになる。
〇 ルーブル美術館で,いつもの場所との異なる場所に展示されたモナ・リザ。7個所に展示された贋作を含むモナ・リザの中から,本物を見つけるというテスト
〇 莉子は7枚のモナ・リザは全て偽物と鑑定し,モナ・リザの縮小写真が掲載されていたギリシャ陶器の展示室に本物があったと鑑定する。
〇 小笠原は,翌朝,散歩中の老婦人に,チワワを引き渡す。
〇 結果。莉子の鑑定は正解。鑑定に正解したのは100人余りの鑑定人の中から,凜田莉子と,龍泉寺里桜の2名だけだった。
〇 日本に戻り,ルーブルの学芸員,ブレから莉子と里桜は指導を受けることになる。
〇 小笠原悠斗は,フランスで偶然に出会い,散歩中のチワワを引き渡したカサンドラ・メイスフィールド女史から,日本滞在中の同行取材を許可される。
〇 莉子と里桜は,ブレからモナ・リザについての講義を受けながら,鑑定に必要な直観を伸ばすテストを受ける。それは11個の贋作を含む12個の中から,二人が交互に偽物を直観で選び,最後に真作を残すというテストだった。
〇 小笠原は,カサンドラ・メイスフィールド一家が日本中のお忍びの旅行に同行する。
〇 莉子は,モナ・リザの瞳の中の文字を見ると脳機能が低下するという記事を見る。
〇 莉子と里桜の講義及びテスト,小笠原の同行取材が続く。
〇 莉子と桜里のテストの精度は上がっていく。最後にモナ・リザを使ったテストをし,合格する。その後,莉子はモナ・リザの目の中の文字を見る。
〇 カサンドラ・メイスフィールド一家は偽物であり,公安の警察に追われる。
〇 莉子は万能鑑定士の営業を再開するが,極度のスランプに見舞われる。莉子は,モナ・リザの瞳の中の文字を見てしまったことが原因であると考え,モナ・リザ展の臨時学芸員を辞退する。
〇 小笠原は,メイスフィールド一家が偽物だったことが分かり,もとのつかいぱしりに近い立場に戻る。
〇 モナ・リザの瞳の中の文字を見たせいで鑑定ができなくなったと思い,莉子は,万能鑑定士Qの店を閉め,波照間島に帰る。
〇 小笠原のところに,メイスフィールド一家のふりをしていた俳優一家の1人から詫びの電話は入る。おそらく偽名だが,スミスと名乗った人物が依頼人。莉子との接触を避けるために,小笠原を同行させていたのではないか…と小笠原は疑う。
〇 小笠原は,凜田莉子に何があったか相談するために,刑務所にいる雨森花蓮に会う。小笠原は,凜田莉子を臨時学芸員にしないように,最初から仕組まれていた罠だと考えている。龍泉寺里桜もその罠に加担している。小笠原は,雨森花蓮から伝言を受ける。
〇 小笠原は,波照間島に向かい,莉子に会う。花蓮からのヒントをもとに,真相に気付く。12枚から1枚を選ぶトリックは,最初の位置が分かって入れば,先に相手に選ばせることで,最後に本物を残すことができる。莉子は真相に気付く。ブレは偽物。里桜達は,莉子を臨時学芸員から外すことで,何を企んでいるのか。企みを阻止するために,東京に戻る。
〇 里桜は,ルーブルにあるモナ・リザは偽物だと思い,本物を日本で展示するため…に行動していた。しかし,里桜も騙されていた。100年前の盗難の際に偽物がルーブルに返された…と騙されていた。
〇 今回のモナ・リザ盗難騒ぎの主犯は,ウラジミール・ツェネヴァというブルガリア人。角川書店にある中古の映画の宣伝用看板,そのうちダヴィンチ・コードの看板に模することで,ブルガリアにモナ・リザを運搬しようとしていた。小笠原を連れ出したのは,この工作をするためだった。
〇 モナ・リザ展は成功に終わる。莉子は臨時学芸員には復帰せず,万能鑑定士Qの店で仕事を続ける。
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