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動物珈琲店(ペットカフェ)ブレーメンの事件簿


4点。「あなたの猫,お預かりします」の続編的位置付けの作品。共通した世界観の舞台で,いろいろな事件が起こる。「フラット&シャープ」という名だった喫茶店が,「動物珈琲店ブレーメン」と改名し,ペットが入れるようになった。最も楽しめたのは「幕を引くには早すぎる」。全体的なレベルとしては低調。「九杯目には早すぎる」などを読んで,蒼井上鷹ファンになったのだが,ここ最近読んだ作品は不満が残るデキ。プロットはそこそこ面白く鳴りそうなのだが,もう少し練りこんでほしいところ。もっと面白い作品が書ける作家だと思うのだが…。


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〇 概要
 「あなたの猫,お預かりします」の続編的な位置付けの作品。平井瞳が営む喫茶店「フラット&シャープ」は家庭的な雰囲気を売りにしてきたが,「犬が電話をかけてきた」という短編での事件をきっかけにペットも入れるように店を改装する。その名も「動物珈琲店ブレーメン」。店は常連たちが連れてくるペットで大賑わいとなるが,奇妙な事件もたびたび起こる。ペットカフェを舞台としたユーモア・ペット・ミステリー

〇 総合評価
 「九杯目には早すぎる」,「ホームズのいない町 13のまだらな推理」などを読んで,すっかり蒼井上鷹ファンになったのだが,この短編集はそこまで楽しめなかった。「あなたの猫、お預かりします」も,それほど楽しめなかった。どちらも,ミステリ的な要素があまりない。星新一的な,最後にオチがあるストーリー(世にも奇妙な物語的な話)なのだが,オチが冴えていない。「ノラが家出するわけがない」は二段構えとはいえ,夢オチだし,オチらしいオチがなく,設定をさらっと解説して終わる話も多い。ストーリーテラーとしては一流なので,どれも,設定や話そのものは結構,魅力的なのだが…。全ての話を通じて,同じ登場人物がカメオ出演する,蒼井上鷹ワールドを作っているという部分はよいのだが,それぞれの登場人物の描写が浅く,この設定を生かし切れていないように思えるのもマイナス。ちょっと辛目の評価になるが,★2で。

〇 犬が電話をかけてきた ★★★☆☆
 佐野豆腐店が火事で店じまいをしてしまった事件と美容室「サン・スーシー」の美容師が足を骨折して入院し,店を休むことになったという事件が起こる。犯人は,陣内先生の歯科クリニックの受付の堂本順子という女性。動機は,陣内先生が好きな豆腐を食べられなくし,いきつけの美容院でカットができなくすることで,仕事を続ける意欲を失わせ,自分の彼氏(歯科医院を首になった)の職場にしようと考えたというもの
 陣内先生の行きつけの美容院の娘,月島真穂という女子高生が飼っているスーちゃんというマルチーズが元気がなくなったことから和江のおばあちゃんが,真穂の家で,マルチーズと留守番しているときに,放火に来た堂本順子を見かけたことで,事件の真相が解明されるという話
 御都合主義だし,ミステリとしてはイマイチだが,意外な真相の話としてはそこそこ。おまけで★3

〇 この猫に名前はいくつある? ★★★☆☆
 前作でも登場した大伴荘という学生と,その飼い猫ロロが登場する。八百屋店の店主の成美三郎は,川辺倫子という学生の嘘(ペンギンハウスという託児所の借金を返済するために,お金がいる)に騙され,お金を渡す。
 さらに,倫子は,西木田隼という男もだまし,お金を巻き上げる。倫子は,妙典明良という男にそのお金をだまし取られる。妙典は,吉田花恋にお金を渡す。吉田花恋は,結局,ペンギンハウスという託児所にそのお金を寄付することにするという話。この話の中で,ロロはさまざまな場所に登場し,いろいろな名前で呼ばれることになる。入り組んでいるが,なかなか凝った話。ミステリではないが。★3

〇 宗像さんの福の神 ★★☆☆☆
 宗像みちると宗像美鶴が登場。物置に泥棒が入るが,何も盗まれていなかった。唐三彩という焼き物が登場し,みちると美鶴は,倉庫に唐三彩の焼き物があると思って,それぞれが倉庫を探そうとする。物置にいた泥棒は,西門という骨とう品店から盗んだものを,宗像家の物置にしまっていた。最終的には,そのことに気付いたが,気付いたきっかけは,ふたりが飼っている,「おじいちゃん」と呼ばれるミニチュアダックスフンドだったというオチ。これは分かりにくい上にあまり面白くない。★2

〇 ノラが家出するわけがない ★☆☆☆☆
 志波勝一というペンネームの推理小説家が登場する。,志波の家で,「ノラ」という名前で飼われているという猫がいなくなる。いなくなった「ノラ」を探しもとめ,酒を辞めて傑作の作品を書き,「ノラ」が戻ってきたというところで夢だと分かるという夢オチ展開。「この猫に名前はいくつある?」に出てきた,妙典明良と川辺倫子が再登場し,犯罪に巻き込まれるという展開の上で,更に目が覚めるという二段の夢オチ。これはさすがにひどい。雑誌連載だったようで,なんとか仕上げたという作品なのかも。★1。

〇 幕を引くには早すぎる ★★★☆☆
 「犬が電話をかけてきた」に登場したマルチーズの太郎丸が再登場。太郎丸は,ガンの人を匂いで見分けることができるという。保丸というアパートのオーナーが登場。中学校時代の同級生である的井初枝が,生前葬をするという。大学生の大伴も再登場。火事になった豆腐店の佐野という人物も登場。佐野と初枝には昔,因縁があって…保丸は,初枝がガンであることを佐野に伝えることで,佐野に改めて豆腐を作らせることに成功する。保丸は,初枝にガンであることをばらしてすまないと謝るが,初枝は自分がガンと気付いておらず,初枝は,自分の生前葬を企画することで,古い友人と自分自身の命の両方を救ったというオチ。ミステリとは言えないが,きれいなオチの秀作。これは★3 

〇 猫は秘密を嗅ぎつける ★★☆☆☆
 桜井りくと同棲しているニートの関口健人が登場する。同居している猫のカイに全く関心がなかった健人が急に感心を示したことなどから,浮気を疑う。実際には,いつも登場するクロネコのロロと仲良くなりたかったというオチ。詐欺事件もからんでややミステリ的な要素もある。カイがいなくなる事件もあって,設定はちょっとややこしいが,最後は,カイと再会するというハッピーエンド。とはいえ,出来としては★2程度か。
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