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硝子の家―本格推理マガジン


点。旧「宝石」という雑誌に掲載された「幻の名作」3編を掲載した中・短編集。標題作の「硝子の家」は,密室殺人を始めとする連続殺人事件に,名探偵「伝法義太郎」が挑む。「離れた家」は,かなり複雑な時系列でトリックが構成されているアリバイトリックもの。「鬼面の犯罪」は,やや説明不足。雰囲気は悪くないが,一読してよく分からない作品になってしまっている。そのほか,おまけとしてノックスの十戒などまで掲載されている。一言でいうとどれも古臭い。幻の名作はハードルを上げ過ぎていると思う。正直,それほど楽しめなかった。


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〇 概要
 旧「宝石」という雑誌に掲載され,単行本化されることがなかった,幻の作品「硝子の家」など,中編,短編を併せて3編収録した作品。加えて,ヴァン・ダインの「探偵小説作法20則」,ノックスの「探偵小説十戒」,山前譲の「必読本格推理三十編」が掲載されている。

〇 総合評価 ★☆☆☆☆
 どの作品も,正直,面白くなかった。過去の名作だということで,頑張って読んだのだが…。古い作品でも面白い作品はあるのだが,そういった作品は「古典」として読み継がれている気がする。隠れた名作というものは,隠れてしまった理由があるというか…。そもそも,掲載されている作品が古すぎるというのもあるかもしれない。古い作品でも,翻訳モノはそれほど違和感なく読めるのだけど,古い日本のミステリは,古臭さが目立ってしまう。読書を楽しむというより,ミステリの教養として読むイメージか。評価としては★1で。 

〇 サプライズ ★☆☆☆☆
 どの作品も,全く驚けなかった。「離れた家」はよく読まないと理解できないし,「鬼面の犯罪」も分かり肉。

〇 熱中度 ★☆☆☆☆
 どの作品も,頑張って読んだ。古い作品は,どうしてもあまり,熱中して読めない。

〇 インパクト ★☆☆☆☆
 分かりやすい作品の方がインパクトがある。どの作品も,一読して分かりにくい部分があって,そこまでインパクトに残らなかった。時代が違うと,文化的なものが違ってくるので,仕方がないのだろうが。

〇 読後感 ★★★☆☆
 よくも,悪くもない。

〇 キャラクター ★☆☆☆☆
 「硝子の家」は登場人物が幼稚というか稚拙すぎる。「離れた家」は,それなりに人間が書けているとは思うが,これも古臭いからかもしれないが,やや幼稚に感じる。「鬼面の犯罪」はさすがに身近過ぎて,キャラクター性まではない。
〇 希少価値 ★★★☆☆
 手に入りにくい本であるのは間違いないと思う。

〇 メモ
〇 硝子の家 (島久作)
探偵役
 伝法義太郎(私立探偵)
被害者
 大峯幸一郎 刺殺(密室)
 大峯幸之進 地下鉄で電車にひかれて死亡
 加戸雲子 橋から落ちて死亡
トリックなど
 犯人は,大峯幸次郎。大峯幸一郎殺害の犯行の動機は, 大峯幸一郎殺害で,密室ができた理由は,幸一郎の臆病な性格を利用したもの。幸一郎は,外で刺され,自ら
密室に入り,鍵を掛けて死亡した。
 大峯幸之進の殺害時には,アリバイトリックを仕掛けている。警察が監視しているのを利用し,向いの家の医者のフリをして家を出入りしたというもの
 加戸雲子の殺害は,雲子の眼鏡に細工をし,橋から落ちるように仕向けたというもの。
 いわゆる,「犯行時、被害者が室内にいなかった」タイプの密室モノ。全体的に見て,古臭さは否めないが,「僕が完全犯罪をするので,捜査したまえ」と探偵役の伝法に挑むところは,やや面白い。全体的に見てリアリティはないし,冗長に感じる。トリックも密室モノとしては陳腐だし,2番目,3番目の殺人のトリックはひどい。トータルで見ても★2程度。隠れた名作というほどではないと思う。

〇 離れた家 山沢晴雄
 交換殺人を利用したアリバイトリックもの。被害者は馬場欣造と城戸美津子。非常に込み入ったアリバイ工作がされている。
 細川亮吉は,城戸美津子を殺害する。城戸は,大槻健一をマジックでだますという仕掛けを用意しており,細川と大槻は,城戸にそっくりな「鮎子」という女性を用意し,城戸を殺害した。大槻は,馬場欣造を殺害している。
 交換殺人をしている上に,非常に登場人物が多いアリバイ工作をしている。真相を知るきっかけが,大槻が偶然火災で死亡し,その手記として細川とのつながりがわかったというものであり,全体的に見て「推理クイズ」っぽい作品。その推理クイズが,さっぱりエレガントでない。解説を聞いてもよく分からないほど。★1。

〇 鬼面の犯罪 天城一
 石月龍一が殺害される。ガラス板に映った影を鬼に見せかけたというトリック。一見しても内容が分かりにくい。トリックもつたないし,凡作だと思う。★1。

〇 ヴァン・ダインの「探偵小説二十則」とノックスの「探偵小説十戒」
 ひと昔前であれば,この実物を読むことは難しかったと思うが,今はネットで簡単に検索できる時代。本で読む価値はないかな。

〇 必読本格推理小説30選 山前譲
 本陣殺人事件(横溝正史),不連続殺人事件(坂口安吾),黒いトランク(鮎川哲也)などの誰でも知っている古典から,殺人鬼(浜尾四郎),船冨家の惨劇(蒼井雄)
など,それなりにマニアックなものまで幅広く紹介されている。時代も昭和7年のものから昭和39年のものまで,幅広い。読んでいない作品も多いが,「危険な童話」(土屋隆夫」などは,正直,今読むとそれほど面白いと思えなかったので,古典として読むべき作品もあるのだろうが,今読んでも面白い作品もあるかも。聞いたこともない作品もあるんので,案外,貴重なリストかもしれない。
 
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